ワルターとバーンスタインの間を繋ぐニューヨーク・フィルのミッシング・リンク~『ギリシャの哲人』ミトロプーロス生誕125年記念リリース。ギリシャ出身の指揮者として20世紀中盤にその名を世界に轟かせたディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)。その生誕125年を記念して、ミトロプーロスが1957~58年にニューヨーク・フィルと残したオーケストラ作品のステレオ録音(オリジナルLPにして5枚分)をSA-CDハイブリッド盤3枚に集成。 (C)RS
JMD(2021/10/04)
タワーレコード x Sony Classical
究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第9回発売
ワルターとバーンスタインの間を繋ぐニューヨーク・フィルのミッシング・リンク~「ギリシャの哲人」ミトロプーロス生誕125年記念リリース。
ギリシャ出身の指揮者として20世紀中盤にその名を世界に轟かせたディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)。その生誕125年を記念して、ミトロプーロスが1957~58年にニューヨーク・フィルと残したオーケストラ作品のステレオ録音(オリジナルLPにして5枚分)をSA-CDハイブリッド盤3枚に集成。
ベルリンでブゾーニに学び、E.クライバーのアシスタントを務めたミトロプーロスは1936年にボストン交響楽団を指揮してアメリカ・デビューを飾ってセンセーショナルな成功をおさめます。この時ミトロプーロスの指揮に衝撃を受け、指揮者としての道を踏み出す決心をしたのがレナード・バーンスタインで、バーンスタインにとっては、コープランド、クーセヴィツキー、ライナーと並び、大切なメンターの一人となり、この時ミトロプーロスが演奏したシューマンの交響曲第2番やベートーヴェンの弦楽四重奏曲第14番は、バーンスタインにとっても生涯のレパートリーとなりました。ヨーロッパの政治情勢の悪化に伴い、1937年にはオーマンディの後任としてミネアポリス交響楽団(現ミネソタ管弦楽団)の音楽監督に就任し、1949年の任期中にその実力を全米随一の楽団へと高めました。
1946年にはアメリカ国籍を取得し、1949年にはニューヨーク・フィルの音楽監督に就任、1958年までその任にあってブルーノ・ワルターとバーンスタインをつなぐ10年間に個性的かつ巨大な足跡を残しました(アメリカで地方オケから5大メジャーの音楽監督へと「昇格」したのは、他にオーマンディ、ライナーなどの例があります)。ニューヨーク・フィル時代のミトロプーロスは、マーラーの交響曲や新ウィーン楽派に代表される後期ロマン派や20世紀の大作を続々とレパートリーに取り入れ、同フィルに強い刺激をもたらしましたが、保守的なメディアからの強烈な批判を受けながらも黙々と自らの理想を実現していくさまは、文字通り孤高の存在を地で行くかのようでした。
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タワーレコード(2021/10/01)
ミトロプーロスとニューヨーク・フィルのコロンビア録音は1950年に開始され、レパートリーも多岐にわたりますが、そのほとんどがモノラル録音で、1957~58年にかけてかろうじてLP約5枚分のステレオ録音が残されました。後任の音楽監督であるバーンスタインへの移行期に録音されたこれらの演奏は、眼光紙背に徹するかのような壮絶かつ厳格なミトロプーロスの音楽づくりが鮮明なステレオ技術で捉えられており、SP時代のミネアポリス時代に始まる彼の一連のコロンビア録音の総決算ともいうべき名演揃いです。しかもチャイコフスキー「悲愴」とスラヴ行進曲、「はげ山の一夜」、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」は何とたった1日で録音されており、このコンビの勢いを反映しているかのようです。またプロコフィエフとシェーンベルク以外はバーンスタインが同じニューヨーク・フィルと再録音しており、中でもチャイコフスキー「イタリア奇想曲」はミトロプーロス盤のわずか3年後の再録音で、直接的な比較が興味深いところです。
録音会場はコロンビアがニューヨークの録音スタジオとして使っていた30丁目スタジオと、1950年代後半~1960年代前半、ステレオ初期のごく短期間だけ録音会場として使われたブルックリンのホテル・セント・ジョージにあったボールルーム(Grand Colorama Ballroom)です。前者は1875年建立の教会だった建物で、1948年にコロンビアがレコーディング・スタジオに改装、1982年まで使用され、グールドやマイルス・デイビスの録音が行われましたが、29メートル x 16.5メートル x 高さ15メートルという空間は、フル・オーケストラの収録も可能にするほどの響きの余裕と明晰さを保っていました。後者は全米一の規模を誇った巨大な舞踏会場ゆえに録音では豊かな響きを得られることで知られ、ステレオ録音に際しての左右一杯に展開するパースペクティブの広がりを強調した音作りを志向するコロンビアのポリシーにも最適で、ホテル・セント・ジョージでの録音にはバーンスタイン指揮のストラヴィンスキー「春の祭典」やマーラーの交響曲第4番、ストラヴィンスキー自作自演の「春の祭典」や、ワルター指揮のベートーヴェン「第9」の第4楽章などがあります。ミトロプーロスがここでシェーンベルクとヴォーン・ウィリアムズの弦楽合奏曲を録音した1958年3月3日には、同じ会場でワルターが同じニューヨーク・フィルとシューベルト「未完成」を録音しています。
ミトロプーロスが残した数少ないステレオ録音ということもあって、これらの録音はアナログ時代に日本でも廉価盤の名盤として親しまれてきました。1990年代からCD化されていますが、2006年にソニークラシカルの「GREAT PERFORMANCES」シリーズでリマスターされたプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」」以外は、今回のハイブリッドディスクがほぼ30年ぶりの新規リマスターとなります。
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タワーレコード(2021/10/01)
[シリーズ・コンセプト]
ソニークラシカルおよびRCA Red Sealの歴史的名盤を、タワーレコードとのコラボレーションにより、これまでのリマスターも含め最高のクオリティを追求し、ハイブリッドディスクとして「究極」の形でフィジカル・リイッシューいたします。ソニークラシカル秘蔵のオリジナル・マスターに遡り、気鋭のマスタリング・エンジニアのアンドレアス・K・マイヤーをはじめとする経験豊富な名手が、今回の発売のために新規で復刻を手掛けるSA-CDハイブリッドのコレクションです。レーベルには、定評ある「音匠レーベル」を使用し、マスターに刻み込まれた原音質の再現性に万全を期し、解説書には、資料性の高いライナーノーツを掲載することで、それぞれの名盤が背負ってきた栄光の軌跡を現代に鮮烈に蘇らせるのが、当シリーズの狙いです。
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タワーレコード(2021/10/01)
究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第9回発売
ワルターとバーンスタインの間を繋ぐニューヨーク・フィルのミッシング・リンク~「ギリシャの哲人」ミトロプーロス生誕125年記念リリース。
ギリシャ出身の指揮者として20世紀中盤にその名を世界に轟かせたディミトリ・ミトロプーロス(1896-1960)。その生誕125年を記念して、ミトロプーロスが1957~58年にニューヨーク・フィルと残したオーケストラ作品のステレオ録音(オリジナルLPにして5枚分)をSA-CDハイブリッド盤3枚に集成。
ニューヨーク・フィル時代のミトロプーロスは、マーラーの交響曲や新ウィーン楽派に代表される後期ロマン派や20世紀の大作を続々とレパートリーに取り入れ、同フィルに強い刺激をもたらしました。保守的なメディアからの強烈な批判を受けながらも黙々と自らの理想を実現していくさまは、文字通り孤高の存在を地で行くかのようでした。
後任のバーンスタインへの移行期に録音されたこれらの演奏は、眼光紙背に徹するかのような壮絶かつ厳格なミトロプーロスの音楽づくりを鮮明なステレオ技術で捉えています。1940年に始まった彼の一連のコロンビア録音の総決算ともいうべき名演揃い。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2021/10/01)