20世紀後半を代表するドイツの巨匠指揮者ルドルフ・ケンペ(1910-76)が、1967年1月にミュンヘン・フィル音楽総監督に就任後、初めて同フィルとドイツCBSに録音したLP4枚分の貴重な音源を全てSA-CD化。シュトラウス「メタモルフォーゼン」以外はケンペ唯一の録音である点もこれらの録音の意義を高めています。「最も音楽的なピアニスト」と称されるブラジル出身の名ピアニスト、ネルソン・フレイレのアメリカ・デビュー盤となった4曲の協奏曲も見事で、チャイコフスキーはフレイレ自身が「自分の録音の中でお気に入り」と挙げるほどの充実した名演。 (C)RS
JMD(2021/10/04)
タワーレコード x Sony Classical
究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第9回発売
ケンペ&ミュンヘン・フィルによる初録音の全貌。1968年5月、わずか6日間で収録された奇蹟の音楽。20世紀後半を代表するドイツの巨匠指揮者ルドルフ・ケンペ(1910-76)が、1967年にミュンヘン・フィル音楽総監督に就任後、初めて同フィルとドイツCBSに録音した貴重な音源を全てSA-CD化。
この1968年5月のドイツCBSへのレコーディングは、5月22日から27日にかけての6日間でLP4枚を録音するという集中的なセッションで、シュトラウス「メタモルフォーゼン」以外はケンペ唯一の商業録音であるのが特徴です。大曲シューベルトの「ザ・グレイト」は、ストレートな解釈を貫いて大きなクライマックスを築く手腕が見事で、この時期に録音として残されてよかったと思える名演(ケンペの「ザ・グレイト」はCD時代になってドレスデン・シュターツカペレとの1950年の演奏が放送録音からCD化されています)。「メタモルフォーゼン」とドヴォルザーク「弦楽セレナード」は、第2次大戦での爆撃前後のバイエルン国立歌劇場の写真をジャケットに使ったLPでのオリジナル・カップリングで、弦楽合奏の明暗が対照的な2曲を組み合わせた好企画盤。日本ではなぜかLPでは未発売で2002年にCDで初めて発売されました(なお、ケンペは「メタモルフォーゼン」を通常の同曲再録音禁止の通常規定が終わる5年後の1973年1月にドレスデン・シュターツカペレとEMIに再録音しています)。
「最も音楽的なピアニスト」と称されるブラジル出身の名ピアニスト、ネルソン・フレイレ(1944年生まれ)のデビュー盤となった4曲の協奏曲も見事で、チャイコフスキーはフレイレ自身が「自分の録音の中でお気に入り」と挙げるほどの充実した名演。アルゲリッチとの共演盤がリリースされた1980年代まではフレイレにとっての代表盤(かつこれらの協奏曲の唯一の録音)でもあり、当時20代前半だったこのピアニストのずば抜けた音楽的センスを刻み込んでいます。フレイレは録音には極めて慎重で長いキャリアの割には協奏曲の録音が少なく、この4曲のうち複数の録音があるのはチャイコフスキーのみ(2014年、70歳を記念して発売された、デッカが放送録音による協奏曲演奏を集めた2枚組RADIO DAYSに、マズア/フランス放送フィルとの1969年ライヴが収録)。その意味でも価値が高い復刻です。
録音会場のビュルガーブロイケラーは1885年に開場した1800人以上を収容できるビアホール・レストランでした。1920年代からは政治集会にも使われ、1923年にヒトラーが「ミュンヘン一揆」を起こした場所としても知られる歴史的な建物。音響の良さでも知られ、第2次大戦後のステレオ時代の1960~70年代にはミュンヘンのオーケストラの録音にも頻繁に使われました。ケンペ/ミュンヘン・フィルのベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーの録音はここが会場でした(EMIによるさまざまなオペラ録音のほか、C.クライバーのヴェルディ「椿姫」[DG]やリヒテルとのドヴォルザークの協奏曲[EMI]もここ)。1979年に解体されています。
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タワーレコード(2021/10/01)
プロデューサーのハンス・リヒャルト・シュトラッケ(1932-2010)は、ケルン音楽院で指揮法と教会音楽を学んだオーストリア出身の指揮者・オルガン奏者・作曲家でもあり、指揮者としてはライン州立フィル音楽監督をつとめ、録音ではマイケル・ポンティ独奏によるモシュコフスキのピアノ協奏曲の伴奏(フィルハーモニア・フンガリカ、ヴォックス・レーベル)などが日本でも発売されていました。評論の分野でも活躍したのみならず、1960年代にはドイツCBSの録音制作に関わっています。スイス出身のレコーディング・エンジニアのヘルムート・コルベ(1926-2002)もピアニスト・作曲家・指揮者・楽譜編集者などマルチな顔を持ち、1955年から75年にかけてコロンビア~CBSのヨーロッパ録音の多くに関わっており、ブーレーズのベルク「ヴォツェック」、バーンスタインのマーラー「一千人の交響曲」やベルリオーズ「レクイエム」などは代表作です。ケンペとの録音では、チューリヒ・トーンハレとの名演3曲(ベートーヴェン「第5」、ドヴォルザーク「新世界」、ブルックナー「第8」)のエンジニアも務めています。
これらの録音の一部はCD時代初期から廉価盤のシリーズでCD化されていましたが、大きな注目を浴びたのは2002年に日本のソニーミュージックによりオリジナル・アナログ・マスターからCD化された時でしょう。さらにシューベルト「ザ・グレイト」のみ2011年にエソテリック社によってハイブリッドディスクとして発売されています。今回はシューベルトは10年ぶり、それ以外は約20年ぶりの新規リマスターとなります。
[シリーズ・コンセプト]
ソニークラシカルおよびRCA Red Sealの歴史的名盤を、タワーレコードとのコラボレーションにより、これまでのリマスターも含め最高のクオリティを追求し、ハイブリッドディスクとして「究極」の形でフィジカル・リイッシューいたします。ソニークラシカル秘蔵のオリジナル・マスターに遡り、気鋭のマスタリング・エンジニアのアンドレアス・K・マイヤーをはじめとする経験豊富な名手が、今回の発売のために新規で復刻を手掛けるSA-CDハイブリッドのコレクションです。レーベルには、定評ある「音匠レーベル」を使用し、マスターに刻み込まれた原音質の再現性に万全を期し、解説書には、資料性の高いライナーノーツを掲載することで、それぞれの名盤が背負ってきた栄光の軌跡を現代に鮮烈に蘇らせるのが、当シリーズの狙いです。
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タワーレコード(2021/10/01)
究極のSA-CDハイブリッド・コレクション第9回発売
ケンペ&ミュンヘン・フィルによる初録音の全貌。1968年5月、わずか6日間で収録された奇蹟の音楽。
20世紀後半を代表するドイツの巨匠指揮者ルドルフ・ケンペ(1910-76)が、1967年1月にミュンヘン・フィル音楽総監督に就任後、初めて同フィルとドイツCBSに録音したLP4枚分の貴重な音源を全てSA-CD化。
ケンペは、この歴史と由緒がありながらローカル・オーケストラ的な扱いを受けてきた同フィルに第2次大戦後最初の黄金時代をもたらし、その後のチェリビダッケ時代に獲得する世界的な名声への素地を築き上げました。対向配置の弦楽パートをしっかり鳴らして生み出される南ドイツらしい温かみのあるサウンドは、LP時代から世界中で親しまれています。
シュトラウス「メタモルフォーゼン」以外はケンペ唯一の録音である点もこれらの録音の意義を高めています。「最も音楽的なピアニスト」と称されるブラジル出身の名ピアニスト、ネルソン・フレイレのアメリカ・デビュー盤となった4曲の協奏曲も見事で、チャイコフスキーはフレイレ自身が「自分の録音の中でお気に入り」と挙げるほどの充実した名演。
ソニー・ミュージック
発売・販売元 提供資料(2021/10/01)