ノイマン生誕100年記念企画。ゲヴァントハウス管弦楽団時代の絶品、ノイマン1回目の「わが祖国」を最新復刻。後のチェコフィルよりも剛健な表現が作品への思い入れを強く感じさせる名演。優秀録音盤。世界初SACD化!
アナログ領域でのみマスタリングを行い、ダイレクトでDSD化!本国のETERNAオリジナル・アナログテープ最新復刻企画 SACDハイブリッド化第8弾
ヴァーツラフ・ノイマン(1920-95)が、コンヴィチュニーの後を継いだゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督在任中(1964-68)に録音を行った代表盤のひとつ、「わが祖国」全曲を本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから新規で復刻。「プラハの春」前年に残された名盤が鮮やかに蘇りました。この後ノイマンはアンチェルの後任としてチェコフィルの首席指揮者に就任(1968-89)し、「わが祖国」は1975年にSUPURAPHONにセッション録音(タワー企画SACDハイブリッド盤として2020年3月にTWSA1068で復刻済)を行い、後にライヴでも音源を残しているためこの1967年盤とよく比較されますが、ノイマンの各曲の対するアプローチの基本は同じとはいえ、演奏は別ものです。一番はオーケストラの違いと主に管の使用楽器による相違、そしてレーベルが異なるため録音面から来る音質の差ということが挙げられます。それ以外では、大きくはノイマンのスタンスにあるのではないでしょうか。他の指揮者でも見られるように、チェコの指揮者がチェコ以外のオケと共演した場合に起こる、一種の緊張感とテンションの高さがまずあります。当時のゲヴァントハウス管弦楽団の質の高さも間違いなく影響しており、望郷の念、とも言える姿勢と、安心・安定感との違いもあるかも知れません。録音的にもSUPRAPHONと違、いがっちりとした楽器重視の収録になっており、ここではエンジニアであるシュトリューベンによる名技が光ります。一般的にはSUPRAPHON盤と比較して知名度が異なりますが、ノイマンのもうひとつの回答、ともいえるこの録音もまた、この曲を代表する名盤と言えます。
今回使用した本国のオリジナル・アナログ・マスターテープは良い状態で残っていました。そのため、これまでのシリーズと同様、高音質で聴く価値が高い音源です。当時の演奏水準や使用楽器の音色をはっきり聴き取ることができます。このスタイルはその後も継承されているとは言え、録音史的な意味でも適切な復刻の必要性が求められるべきと考え再発を行っています。
(1/2)
タワーレコード(2020/08/27)
"~カール・ズスケは、コンヴィチュニー時代のゲヴァントハウスは最高の響きだったと語っていた。ノイマンはそのコンヴィチュニーの後釜として同楽団のシェフに就任、この「わが祖国」はその時代の産物である。ノイマンは前任者が育んだ音をそのまま生かしているのは言うまでもなかろう。弦楽器のしっとりと落ちついた音色は非常に印象的だが、中でもチェロの柔らかく渋い音は特筆ものであろう。
~解説文より抜粋 平林直哉(音楽評論家)"
今回の復刻に際して、マスターテープはレーベルからウィーン在住のマスタリング・エンジニアであるクリストフ・スティッケル氏のスタジオに空輸し、アナログ領域でのマスタリングを行った上で、デジタル化にあたってはSACD層用のDSD化とCD層用のPCM化を別系統で行い製品化。この企画では、現在考えられる限り理想的な方法でのマスタリングを実現しました。その効果は著しく、マスターテープに残されていたクオリティを極めて忠実に再現することが可能となり、さらにアナログ領域のみでのマスタリングとダイレクトDSD化が、より音質的に効果をもたらしています。従来と比較して驚くほど鮮明で解像度が高くなったことにより、演奏に対する更なる評価が期待できるほどの出来です。尚、解説書には今回使用したオリジナルのアナログ・マスターテープの外箱の写真も掲載してあります。
<マスタリング詳細>マスタリング・エンジニア(DSD化含む):クリストフ・スティッケル氏
~在ウィーン。ミュンヘン・フィル自主制作盤のマスタリングや、タワー企画盤JAZZのECM SACD企画(2017~)も担当。 現在ヨーロッパでもっとも信頼の厚いエンジニアのひとり
"ETERNAオリジナル・アナログテープからのピュア・アナログ・リマスタリング"
SACD層:新規で本国のアナログ・マスターテープから、アナログ領域でのマスタリング後、ダイレクトにDSD化
CD層:同様にアナログ領域でのマスタリング後、96kHz/24bitで高品位デジタル化後に44.1kHz/16bit化
それぞれのデジタルデータは伝送ではなく、光学ディスクで空輸
(2/2)
タワーレコード(2020/08/27)
ノイマンといえばチェコ・フィルとセットで語られるが、ここではゲヴァントハウス管を振っている。チェコ・フィルより一段と渋くコクのある響きが出せ、更にここぞというときの熱のこもり方にも特徴があるオケだ。そんなオケの美質が最大限に活かされたのが、ここに聴く《我が祖国》である。
冒頭のハープからして美しく、有名な《ヴルタヴァ》の滔々とした流れは、渋くも艶やかな弦楽セクションの成せる業だろう。何と言っても感動的なのは《ブラニーク》のラストの主題回帰のシーンで、ここをこんなにも高らかに力強く奏でられた録音が他にあるだろうか。クーベリックを始め他のチェコの指揮者が束になっても敵わないかも知れない。
気になる音質だが、従来のCDでは目立っていた音割れも軽減し、高音域の抜けが格段に良くなった。全体的に音が立つようになり、力感も増したように思える。従来盤に御不満の方も、是非手に取られたら如何だろうか。