イザベル・ファウスト SACDシリーズ
(GREAT CONCERTOS 第2弾発売)
限定盤並外れたテクニックと洗練された音楽性で非常に高い評価を獲得し、その活躍ぶりが目覚ましいヴァイオリニスト、イザベル・ファウスト。2013年秋に発売されたSACDシングルレイヤー盤「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲」と「ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集」は、彼女の卓越した技術と音楽性はもちろん、ハルモニア・ムンディ・フランスの録音の質の高さ、及び角田郁雄氏が行ったSACD化に際しての技術監修も話題となり、音楽愛好者のみならずオーディオ愛好者の間でも高い評判を得ました。今回は、そうしたファンからも要望の高かった協奏曲録音をSACDシングルレイヤー盤として発売することになりました。7月にリリースされた第1弾発売の3タイトルも好評をいただいており、この度やっと第2弾発売をご案内いたします。「GREAT CONCERTOSシリーズ」もベルリンのテルデックス・スタジオから提供されたマスター音源を角田郁雄氏技術監修のもと、キング関口台スタジオでDSDマスタリングを行いました。
人気・実力とも急上昇中のヴァイオリニスト、イザベル・ファウストと気鋭指揮者のダニエル・ハーディングによるバルトークのヴァイオリン協奏曲集。バルトークは、ファウストがデビュー盤で取り上げた作曲家。彼女の魅力が炸裂する作曲家の一人です。第1番は、バルトークが26歳の頃に書かれたもの。当時熱い思いを寄せた女性ヴァイオリニスト、シュテフィ・ゲイエルに献呈されましたが、一度も演奏されないままに、彼女もバルトークの死後10年ほどでこの世を去ってしまい、ふたりの死後しばらくしてからこの作品の存在が知られることとなった遺作です。ファウストはこの録音にあたり、草稿など様々な資料にあたり、バルトーク自身による書きこみなどを発見。バルトークの思いを可能な限り汲んだ力演を聴かせています。冒頭の長七の和音を静かに上行する4つの音からなる音型は、シュテフィ・ゲイエルをあらわすモティーフ。ファウストが奏でる内省的な音色から、一気に世界に引き込まれます。第2番はバルトークの中期、最も創作的に充実していた時期に書かれたもの。ハンガリー民謡的な旋律、抒情的な旋律、五音音階から十二音技法、さらには四分音まであらわれる、多種多様の素材が見事に融合・構築され、高度の集中を要求するこの作品には、バルトークのすべてが詰まっているといっても過言ではないでしょう。なお、ライナーノートはファウスト自身の筆によるもので、作品の背景やファウストが発見した事実などが述べられており、実に興味深い内容となっています(日本語訳掲載)。
キングインターナショナル
発売・販売元 提供資料(2015/08/06)
ヴァイオリニスト達の前に聳える二つの巨峰、バッハ「無伴奏」とベートーヴェンのソナタ全集を見事な演奏でものにし今や一頭地を抜いた感のあるイザベル・ファウスト。待望の新録音はバルトークの協奏曲。ことに第二番は民族舞踏から十二音、四分音までの様々な作曲技法が緻密に織り込まれた屈指の難曲ですが、これをヒヤリとくる硬質な響きや妖しいまでの艶やかさなど、様々な音色を使い分けて奏で上げております。またしても名演!
intoxicate (C)伊藤圭吾
タワーレコード(vol.105(2013年8月20日発行号)掲載)