●初期LPレコードの伝説的名演
第2次世界大戦が終わって日本の復興が本格化して来た1950年代初頭、民間放送が開始されて人々に音楽を楽しむ余裕が生まれ、続いてLPレコードが発売されてNHKが中波ステレオ事件放送を開始、1952年には第1回オーディオフェアが開かれて日本のハイファイ・オーディオが始まりました。その流れを作ったのは他ならぬLPレコードです。これは大学卒新入社員の初任給1万円に対して2800円と言う高価な物なので殆どの人達はレコードコンサートでしか聴く事が出来ませんでしたが、その音の良さから何とかレコードを入手し、再生装置を自作する人達が出てきて、レコード会社も値段を2300円、1900円と下げ、録音時感の短い25cmサイズの1000円盤を発売してその普及に務めました。また収録音楽の組み合わせにも工夫がなされ、ベートーヴェンの「運命」とシューベルトの「未完成」の組み合わせがヒットしましたが、それに並ぶのが類稀なる美音のバイオリニスト/ジノ・フランチェスカッティーによるメンデルスゾーンとチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を組み合わせたLPレコードでした。これは、レコードコンサートや学校の音楽の授業での定番であり、終戦直後に「りんごの歌」が人々に新しい時代を作る力を与えた様に、クラシック音楽の美しさを多くの人達に伝えました。このLPレコードに少し遅れて発売されたのが、フランチェスカッティーによるベートーヴェンのバイオリン協奏曲です。この曲は戦前、クライスラーのSPレコードが愛聴されていましたが、このLPレコードは格段に優れた音質のクライスラーに通じる情感溢れる演奏として歓迎されました。初期LPレコードが多くの人達に与えた感激を堪能してください。
<村岡輝雄>
1967年九州大学大学院を卒業。日本ビクター㈱研究所・音響情報研究室長、武蔵工業大学・教授、東京大学先端科学技術研究センター・客員研究員を歴任し、現在は日本女子大学文学部・客員研究員で、併せて東京大学高齢社会総合研究機構の人間情報工学・伊福部研究室で音響信号処理の研究を行なっている。高校時代よりオーディオに取り組み、大学・大学院で電子通信工学を学んで日本ビクター㈱に入社後はプロ研究者に転向。入社後10年以上に亘って録音スタジオやレコード技術部門と連携して音楽録音技術とアナログレコードの研究に取り組み、4チャンネルレコードCD-4の基本設計とレコードカッティング/トレシング歪みの研究で工学博士を取得。ディジタルオーディオ時代以降は大学時代の音声合成認識研究の延長としてディジタル信号処理研究に取り組み、非調和周波数解析GHAの研究と実用化を行なった。大学時代から吹奏楽とオーケストラに参加し、業務で修得した録音技術を駆使して200枚以上のCDを制作して今日に至っている。
発売・販売元 提供資料(2015/01/19)