1992年の初リーダー作から2014年現在まで、ジャズ界の最前線に立ち、自身のルーツであるニューオリンズの香りを漂わせながらもネオ・ハードバップからエレクトリック、フュージョン、ファンク、ボーカルなど、独自のサウンドを常にクリエイトし続けているニューヨークNo.1との呼び声も高い人気トランペッター、ニコラス・ペイトンの2014年ニュー・アルバム。エモーショナルで温かみのある音色は懐深く、様々なエレメントを盛り込んだ多面性、ユニークさ、申し分のない技量とニコラス・ペイトンの輝きを凝縮した、力量を存分に感じることのできる作品です。すべてオリジナルの全12曲。フェンダーローズも弾いています。
発売・販売元 提供資料(2014/07/22)
BAMを掲げた3年前の『Bitches』で賛否を呼んだっぽい革新犯の新作。2013年のコンセプト作『Sketches Of Spain』には帝王への敬意からトランペット奏者として臨んでいたが、今回は冒頭曲を除いてフェンダー・ローズから繊細な銀河の煌めきを紡ぎ出すことに専心している! 途中で誰か歌い出すんじゃないかと期待してしまうほど黙々と快く熟れた、ニュー・ソウルとフュージョンの間を揺らぐ真夜中のメロウ・グルーヴ集。最高。
bounce (C)出嶌孝次
タワーレコード(vol.371(2014年9月25日発行号)掲載)
BAMの旗手ニコラス・ペイトンの新作が登場…ですが、これまた波乱を予感させる一枚です。彼のトレードマークである溌剌としたトランペットは本作ではほぼ聴こえず、代わりに台頭しているのはBAM以降の彼のモードを示すフェンダーローズ。ラフな状態で仕上げられたファンキーな「何物か」には具象的なモチーフやタイトルが一切与えられず、存在するのはシンプルなナンバリングのみ。ジャズの長い歴史に基づく…乱暴に言ってしまえば前代的な楽器の象徴とも言えるトランペットを置いたニコラス、歴史や柵を振りほどいてでも彼が追い求めるBAMの理想郷こそがこれだということ、なのでしょうか。
intoxicate (C)平野望
タワーレコード(vol.111(2014年8月20日発行号)掲載)