ホワイト・ストライプスの要であり、サイドバンドのラカンターズの司令塔であるジャック・ホワイトがザ・キルズのアリソン・モシャートをヴォーカルに迎えたオルタナティヴ/ガレージ・ロック系プロジェクト、ザ・デッド・ウェザーのデビュー・アルバム。 (C)RS
JMD(2010/06/14)
ホワイト・ストライプスの要であり、ラカンターズの司令塔であるジャック・ホワイトの新プロジェクトがこの"The Dead Weather"。08年にラカンターズがキルズとのツアーを行った際に、ジャックが喉を痛めるアクシデントに見舞われる。そこでキルズのボーカルViVi嬢ことモシャートに依頼、ツアーも無事終了し親交を更に深めた2人は、その後のデッド・ウェザー結成へと発展する。『ホワイト・ストライプス新作までの繋ぎのプロジェクトだしね』なんて侮るなかれ。"ただの一過性プロジェクト"って片付けるには、あまりにもおこがましいぐらい、激しく吹き荒れる暴風雨サウンドはかなりの本気モード。そのdeadな音は、ジャックが好きな60'sガレージ/アシッド/ブルース/カントリー/ロックン・ロールが過剰に溶け込んでいて、聴く度に狂酔してしまいそう。ストライプスでもラカンターズでもない"予測不能のハリケーン・ブギ"ジャックの天邪鬼さ加減は、まさしくこのプロジェクトでしか味わえない。日本盤のみのボーナス・トラック2曲収録 / ライナー・歌詞・対訳付き。
タワーレコード
『Icky Thump』(2007年)以来、活動を休止しているホワイト・ストライプス。ワールド・ツアーがキャンセルされ、メグ・ホワイトの精神状態がよろしくないというウワサが流れたりして、バンドの行方には不穏な空気が漂っていた。でもそんな暗雲を蹴散らすように、ジャック・ホワイトはサイド・プロジェクト、ラカンターズの2作目『Consolers Of The Lonely』(2008年)を完成させてツアーに出動。有り余るクリエイティヴィティーを発散させていたわけだが、そのツアーで共演したキルズのヴォーカリスト=ヴィヴィことアリソン・モシャートを誘って、今度は新ユニットを始めたのである。それがこのデッド・ウェザー。アリソンとジャック以外のメンバーは、ジャック“リトル”ローレンス(グリーンホーンズ〜ラカンターズ)とディーン・フェティータ(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)だ。そして、意気投合した4人は勢い(=初期衝動)に任せて、あっという間にファースト・アルバム『Horehound』を完成させた。ホワイト・ストライプスではミニマムな編成でラウドなロックンロールを、ラカンターズではルーツ・ミュージックに根差した滋味溢れるバンド・サウンドを展開してきたジャックが、デッド・ウェザーではドロドロにブルージーでネバネバにサイケデリックなサウンドを炸裂させている。また、アリソンの歌声もキルズの時よりもワイルドで淫ら。ストリッパーのポール・ダンスの如く肉食系ビッチの匂いを放っている。その熱い歌声にえげつなく絡むのがジャックのギターで、ラカンターズよりストライプスに近い爆発力を発揮して暴れまくりだ。そういえば、キルズもストライプスも男女2人組。バンド不倫ともいえるジャック&アリソン・カップルの掛け合いはどこか背徳めいていて、ストライプスの緊張感とは違ったダークな情念がアルバムに渦巻いていたり……。本作のツアー後、ストライプスはついに新作のレコーディングに入るそうだが、肝心のメグはギタリストのジャクソン・スミス(パティ・スミスの息子)と再婚したばかり。果たして、デッド・ウェザーが今後のストライプスに与える影響はいかに? いろんな意味で波乱に満ちた本作は、血の色に染まったロックンロールがドシャ降りだ。
bounce (C)村尾泰郎
タワーレコード(vol.312(2009年07月25日発行号)掲載)