2006年発表の大ヒット『タイムレス』から2年振りに、ブラジルの巨匠が贈るアルバム。2008年ボサ・ノヴァ誕生50周年を祝って世界各国から豪華ゲストが参加、BEPのウイル・アイ・アム&ファーギーも再び加わり、往年の名曲「ルック・オブ・ラヴ」「おいしい水」などが新たに蘇る! (C)RS
JMD(2010/06/14)
第7回ラテン・グラミー賞も受賞した、大ヒット作「タイムレス」から2年、ウィル・アイ・アム(Black Eyed Peas)とのコラボ再び!40年以上に渡り、ブラジル音楽界のトップに君臨するスーパースター、セルジオ・メンデス。ボサノヴァ生誕50周年を祝う2008年に、待望のアルバムをリリース!本作にもウィル・アイ・アムがセルジオと共同でアルバム・プロデュース。ブラジル音楽とHIP HOP/R&Bが融合した刺激的なサウンドが今回も実現!リード・シングル「ルック・オブ・ラヴ」ではファーギーも参加!さらに、A&M時代の盟友ハーブ・アルバート、ブラジル'66時代の看板シンガー、ラニ・ホールをはじめ、レデシー、カルリーニョス・ブラウン、ナタリー・コール、ザップ・ママ、フアネス、グラシーニャ・レポラーセ、ヴァネッサ・ダ・マタら、ヴェテランから若手新進アーティストまで、世界各国から豪華ゲストが参加!
タワーレコード(2009/04/08)
〈セルメン〉という呼称を考えた人は偉い。親しみやすさとか人懐っこさを上手く言い当てていて、ニコニコした小粋なオッサンにはピッタリだ。〈セルメンってのはさ~〉とか知ったかぶりな発言もしやすそうだしな。で、そんな親しみやすさを作品に落とし込んだのが、ウィル・アイ・アム全面制作の前作『Timeless』(2006年)だった。エリカ・バドゥやジョン・レジェンドら豪華な顔ぶれが参加した同作でセルメンを知った人も多いはずだ。反面、煮卵とかチャーシューのトッピング全部入り状態で〈セル麺が見えない!〉みたいなファンの声も聞かれた気がする。
それと比べれば、ウィルは4曲を手掛けるのみとなった今回の『Encanto』はまったく様相が異なる。現時点でクレジット未確認のため、演奏などにもっと関与してる可能性もあるけど、そうであればなおさらのことだ。ブラック・アイド・ピーズの“Sexy”(2003年)以来、両者のコラボは常にウィル主導だったのが、今回の主役はセル麺というか従来の〈セルメンらしさ〉で、ファーギーやサイーダ・ギャレットらも麺の旨さを引き立てる上品な具材として機能している。そんな風情は、スティーヴィー・ワンダーへの憧れとブラジル感を共存させたベル時代の『Vintage 74』(74年)あたりを思わせる。偶然にも同作で披露していたジョビン・クラシックの“Aguas De Marco”を今回はレディシとザップ・ママにそれぞれ歌わせていたり、『Encanto』はまさに〈Vintage 08〉と呼びたくなる、気負いなく軽やかなポップ作品だ。いや、ボサノヴァ50周年や自身のキャリア総括も意識したと思しき選曲を見るに、今回こそ『Timeless』と呼ぶべきなんだけど……セルメンってのはさ~、そういう大仰さが似合わないんだよね(知ったかぶり)。
bounce (C)出嶌 孝次
タワーレコード(2008年03月号掲載 (P56))
おっ、今回はグラシーニャ・レポラーセとラニ・ホールの名前が並んでいるじゃないですか。それもラニの歌う“Dreamer”には、彼女の旦那でありA&Mの創始者でもあるハーブ・アルパートまで参加しているぞ。両者はセルメンの黄金期であるA&M時代を支えた女性ヴォーカリスト(ハーブもまた彼とバンドを支え続けた功労者)。ウィル・アイ・アムとふたたびコラボを行っているニュー・アルバム『Encanto』だが、先のようなポイントに何よりも反応しているオールド・ファンがけっこう多いのでは? で、仕上がりについてだが、セルメンのセルメンたる魅力が前作『Timeless』以上に見えやすくなっている感じがする。というのは、進取の気性を広げていろんな流行サウンドに挑戦しても、ミドル・オブ・ザ・ロードなポップスに着地させられるみずからのセンスを改めて見直したのでは?と思える楽曲が多く並んでいるからだ。前作のヒットから得た自信? あるいは確信? そういったものが確実に働いている。だから今回はA&M時代の名作がダブって見えたりしてしまうのである。また、ウィルも今回が2度目とあって、ファーギーや自身の参加曲で〈尖がらずに刺激的〉という巧みな音作りをしていて、そのへんはいい按配を見せている。そんな作品だからこそ、冒頭の2人の参加が必要だったんですかね。
bounce (C)桑原 シロー
タワーレコード(2008年03月号掲載 (P56))