メンバーズレビュー一覧

hasikeさんが書いたメンバーズレビュー

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(全3件)

サブライム<タワーレコード限定>

Sublime

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

これを言うと短絡的過ぎて失笑を買いそうな気もするのですが、このアルバムには強い「クラッシュみ」を感じました。とはいってもたま~にパンク界隈でスカをうまく消化したバンドが出てくるというようなレベルではなくて、このバンドはスタイルにおいてそこに近付き得ているような感じがします。つまり、多彩なバックボーンを教養的にスマートに楽曲に落とし込むのではなく、DIY的な、あるいは男メシ的な提示の仕方をしてみせているところに、確かに「パンクっぽい」と感じさせるところがある。このあたりも名盤と呼ばれる所以(実はこのバンドの音楽性は全然知らなかったのですが、それでもこの作品のジャケットだけは知っていました)なのかもしれないと思いますが、それはそれとして個々の曲の出来が素晴らしいです。メジャーデビュー作とはいってもやらされた感のあるところは一切なく、気持ちいいサウンドプロダクションで創意工夫に満ちた曲が好き放題に詰め込まれています。

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この作品は(個々の楽曲はラジオでかかったりもしていたため聞き覚えがあったりするのですが)今回初めて聴いたにも関わらず、なんともいえない懐かしさを感じました。それぞれの楽曲はもとより、構成として80'sメタルのパロディーのような『Pain for pleasure』が収録されているところなど、何ともむず痒い気持ちになります。しかしこういうのって実は、配信で楽曲の切り売りがスタンダードになった今ではなかなか成立しないことかもしれません。ただし悪ノリやヤンチャなところ、バンドとしての愛嬌は存分に発散しつつもソングライティングは洗練されていて、『Fat lip』などかっぱえびせん並みに何度でも聴けてしまうナンバーになっています。

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当時はまだこの手のキラキラしたバンドを聴くにはカッコをつけ過ぎていたため、AARの作品は今回の企画で初めて手に取ったのですが、一聴した印象としてロックバンドというより打ち込みやサウンドプロダクションのこだわりも含めたポップユニットとしての性格を強く感じました。この打ち込みのドラムや本来編成にないオルガンなどの楽器もデジタルに投入しているところなどJ-POPとの親和性も感じられ、当時日本のラジオでよくかかっていたことにも納得できたりもします。そんな感じで音としてはパンクやエモという枕詞の入らないど真ん中のポップバンドよりも整ってたりするのですが、一方で「エモ」の流れでこのバンドが語られることに納得できる点もありました。それは例えばいわゆるパンクらしいパンクとは一線を画した文芸的な叙述にシンプルなテーマを託した歌詞とか、MVやヴィジュアルから醸し出す雰囲気など……要するにエモって音楽性というより雰囲気かもしれないな、と。そういう意味では、まさに「エモい」バンドだったのかなと、この作品を聴きつつ今さらながらに思ったりもしました。(脱線しますが、ここ数年人口に膾炙するようになった「エモい」という表現、当時の俺らって普通に使ってましたよね……)そんな分析は置いといてもこの作品を作り上げた2人の才能は紛れもなく本物で、1曲目の『My paper heart』から文字通り捨て曲の一切ない名盤となっています。

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