メンバーズレビュー一覧

niraさんが書いたメンバーズレビュー

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(全17件)

「射撃の成績不振」と「作曲家の創作不振」の読み替えという演出のアイデアが面白そうでずっと買いたかったのだが、レビューが一件もないので買いそびれていたが、そろそろ思い切って買ってみた。どういう「オチ」なのか気になっていたが、「いや、結局は魔弾かいッ」。全体に、暗くおどろおどろしく宗教臭いのが厭、という人には向いている。シャーガーとニルンドのコンビは、最近のバイロイトのビシュコフ指揮の『トリスタンとイゾルデ』のソフトと同じで、実はそちらを先に視聴してしまっていたので、ニルンドのイゾルデに多少疑問を持っていたが、この公演を視聴する限り、容姿も声もイゾルデにぴったりな気がする。やはりバイロイトの暑さにやられたのかも。それはそれとして本盤の感想にもどるが、舞台美術も衣裳もさすがウィーンはとてもお洒落。ただ、オケのウィーン・フィル、正確にはウィーン国立歌劇場管弦楽団は「通常業務」。ネトピルは悪く言えば、自動運転の車の運転手。「オススメ度」は3にしたかったが、歌手陣が意外と頑張っていて、隠者のドーメンは、ティーレマン盤のクーノやバイロイトのヴォータンより声が良く出ていて(吊りものに乗っているのでマイクに近かったか)迫力がある。いずれにせよ、初めてこのオペラを観るという人には間違っても薦められるものではないが、音楽そのものの毀損はないので、選択肢の一つとしてあり得ると思う。

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こういう感想もあるという意味でレビューしておく。筆者には全くシューマンの響きが聴こえなかった。交響曲第4番の2つの稿や、その他珍しい曲も録音されているので買ってみたが、筆者には期待外れだった。小編成のオケだからこそ出来る表現があるのは理解しているが、お世辞にも楽員の技量が高いとは言えず、豊かな音楽性が感じられない。BISの録音はそうした欠点を補おうとしたのか低域の残響がやたら多く、ある種のモノラルのレコードのような音質(左右のセパレーションはちゃんとしている)で、SACDの利点もない。指揮者も、シューマンに対する思い入れがあるのならもっと徹底してオケを鍛え上げるか、それが出来ないなら他のオケを振るべきだろう。

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BDプレーヤーの映像出力はHDMIケーブルでTVへ、音声出力はRCAケーブルで2chのプリメインアンプへ出力する条件下での感想。音質は生硬さもあまりなく、おそらく無観客のゲネプロのものではないかと思うが、劇場の響きが良く捉えられている。特に合唱の響きが素晴らしい。合唱指揮(指導)は、2023年に亡くなったノルベルト・バラッチュ(バラチュ)、1972年から1999年までバイロイトで活躍した名合唱指揮者だ。ワーグナーの作品の中では合唱の出番が多い『タンホイザー』をこの音質で聴けるのはありがたい。ただ、歌手陣は特に良いわけでもなく悪いわけでもなく、このソフトは総指揮のシノーポリと合唱指揮のバラッチュを聴くべきものだと思う。

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各変奏を熟考し、それを丹念に音化するという作業をおそらく気の遠くなるくらい繰り返してきた人なのだろう。そして、それは永遠に終わらない。その「未完成」こそが芸術なのかもしれない。このソフトは、テレビ音声ではなく、アンプと独立したスピーカーで聴くと、より強く胸に迫る。

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再生して驚くのは、録音レベルがかなり低い(小さい)こと。むろんヴォリュームを上げれば済む話だが、尋常じゃなく上げなければフツーに聴こえない。生理的に馴れるまでに時間がかかるが、Dレンジの広大さは、ノーマルCDとは思えないほどだ。むしろ、普通の録音が歪っぽくてうるさくさえ感じる。とはいえ、演奏は個性が感じられない。木管もホルンも、楽譜通りに吹いてるだけで、特に何も指示は受けてないように思える。ただ、Vnソロはさすがに美しい。『リュッケルトリーダー』は、これまた独唱がはるか遠い。

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上演時間の割りに登場人物が少ない作品の特性を補うために色々と考えている演出ではある。しかし、冒頭の黙役の男にしても存在の意味が解らないし、小道具に銃とかを使うのも悪くはないが、ジークリンデが寝室からナイフと猟銃を奪ってくるに至っては、「銃があったらノートゥング要らんやろ!」と思わず呟いてしまった。『ラインの黄金』でも下ネタですべっていたので、これもユーモアなのかもしれないが。いずれにしても、ワーグナーのト書き通りの陳腐な演出よりも退屈はしない。しかし、大切なことは物語の深みを表現しているかどうかだと思う。ヴォータンは良くも悪くも模範的な歌唱で、もっと声の存在感が欲しい。また、シュテンメに気を使っているのか、ジークムントとブリュンヒルデの絡み、ヴォータンとブリュンヒルデの絡みのところだけフツーの演出になっているのがなんか白々しい。ラストの「蛇足」は言わずもがな。製品としての画質と音質は良好。

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新型コロナウィルスによるパンデミックは、世界中の音楽家たちに深刻な影響をもたらした。コンサートは次々に中止となり、表現の場は非情にも鎖された。ここではベルリンを拠点とする音楽家が、独奏かピアノ伴奏程度で無観客の演奏を行う姿が淡々と記録されている。出演者は多いが、それぞれは全く個別で、ただただ演奏が流れてゆくだけである。しかし、そこには強固な無言の主張がある。「私たちはどのような苦境に陥ろうとも音楽を奏でつづけてゆくのだ」と。

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ザックス役のロイターが気に入った。声量も音程も安定しているし、初めて接するバスバリトンだけどもとても魅力を感じた(ただ声質はヴォータンかグルネマンツの方が合うのでは)。一方フォークトは、なにせ若い時の映像が色々あるのでやはり老いは隠せない。演出は、現代に置き替えるパターンだが、それなりの工夫は随所にあり、最後まで飽きずに観ることができた。ただ、全体として『さまよえるオランダ人』以降の唯一の非悲劇として祝祭的かと言われれば、南ドイツの明るさよりも北ドイツの陰鬱を感じたことも確かだ。いずれにせよ、画質も音質も良い。最後に、指揮は可もなく不可もなく。

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大した演奏が出てきたものだ。今後、世界的に高い評価を得ると思う。

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朝比奈隆 交響的肖像

朝比奈隆、他

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☆☆☆☆☆
★★★★★

インタヴューは内容が浅く、期待していた演奏も録音が悪く、音が粗いし左右のセパレーションが十分でなくモノラルのように聴こえる。テレビ音声ではなく、独立したアンプとスピーカーで聴かれることなどあまり考えてなかったのではないか。関西在住で、朝比奈隆氏の生演奏で育った者として、記念に残しておきたいと思って購入したが、とても残念だ。

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現在入手可能なこの曲のBDソフトで日本語字幕が付いているのは、バーンスタインの古い演奏会形式のものを除けば当盤しかない。一オペラ愛好家、音楽愛好家として、オペラの映像ソフトには日本語字幕が絶対必要だと言いたい。だから演奏や演出について言及する前に、ワーグナー作『トリスタンとイゾルデ』の唯一の完全な映像ソフトとして満点に値すると思う。

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これは何かの作品の本編に「ボーナス」として付録しているようなインタビュー集、もしくは対話集だ。歌劇場の裏方の苦労を紹介する面もあるが、オペラ好きなら誰もが知っているようなことばかりだ。少なくとも繰り返し観るようなものではない。せめて『マイスタージンガー』の第一幕と第三幕の前奏曲だけでも逆ボーナスとしてサービスするくらいのことが出来なかったのだろうか。

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現代ピアノをフォルテピアノのように、ある程度強弱を絞って演奏するというやり方は珍しくもないが、それを考慮してもどこか全体に闊達さや精彩を欠いているように思う。22番の第3楽章はオケともどもリズムが重くて弾まないし、24番の第1楽章は曲の持つ深い感情が伝わってこない。そのくせカデンツァ前のティンパニーがやたら轟音で、「優秀録音」ってそういうことじゃないでしょ。

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ティーレマンやバレンボイムの強力なBDソフトがあるなか、ROHがどういう舞台を見せてくれるか興味があったが、どうやらこれはシュテンメの『ワルキューレ』のようだ。柔らかさや仄暗さすら感じる彼女の声は、戦乙女にただ勇ましいだけではない人間味を感じさせてくれる。その他はとりたてて優れた点はないが、日本の劇場では消防法上ありえない炎の演出が見所か。

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録音は、24/96のPCMで、今や特にハイスペックでもないが、マイクセッティングがこなれているのか、全体のバランスが良好な上に、鮮明な直接音とその広がりが上手く捉えられている。演奏者は正直、聞いたこともなかったが、コッペイは技術、芸術性ともに一流。指揮者も、単純な伴奏に終わることなく、音楽性が良く感じられる。殊に木管楽器の使い方は見事。名盤也。

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映像は、中の上(リヒャルト シュトラウス以外)、良くも悪くもヨーロッパ特有のクセが強いが、カメラワークも含めて水準以上。音質も歪感がなく、レンジも広いのだが、間接音がちょっと人工的な印象。ただ、ブルゴスの指揮は流石に聴きごたえがある。まさに昔のベートーヴェン演奏を知ることが出来る貴重な映像遺産だ。脱プラスティック(オール「紙」)のパッケージも大賛成。

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