メンバーズレビュー一覧

Antonioさんが書いたメンバーズレビュー

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ガルッピは、現在ではカラフルな家並やレースの編み物で知られる観光の島、ブラーノ島出身で、ヴェネツィアを中心に活動し、後年サンマルコのマエストロ ディ カペラを務めた。一方で、英国やロシアに招かれて滞在した程名声があり、生前はとりわけオペラブッファが高く評価されていたという。その才能はオペラやセレナータの他に、鍵盤楽器のためのソナタや協奏曲などの器楽作品からオラトリオ・ミサ曲等の宗教的作品まで幅広い創作活動を可能にしていた。現状聴くことのできるものの多くは器楽曲であり、残念ながら声楽曲は少なめである。オペラセリアの分野では、1740年以降、時流の趨勢がナポリ派に移ってからの作品が多く、彼もご多分に漏れず、ティトの慈悲やオリンピアーデ、晩年サンクトぺテルブルクで書かれた棄てられたディドーネといったメタスタジオの定番台本を多く活用している。このラテン語の台本を持つオラトリオは彼の円熟期の作品で、旧約聖書のヤエルの物語を題材にしているが、音楽上の特徴からすれば、彼のオペラセリアと大差ないように思われる。例えば、冒頭のアリアNon sic a Celsa rupe velocesは、軽快なテンポと流麗な旋律、豊かな表情等の点で、彼のオペラアリアの特徴を余すところなく表していると言える。

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ジョヴァンニ アルベルト リストーリはボローニャ生まれと伝えられているが、1717年以降。ポーランドの宮廷に仕えるようになってからは紆余曲折を経ながらも常にドレスデンと一定の関係を保ち、晩年はハッセの下で宮廷副楽長まで務めている。彼は器楽曲も残しているが、世俗的な声楽曲や、ミサ曲などの教会音楽が創作の中心であり、とりわけ彼の喜歌劇は好評を博したという。彼のオペラやカンタータはメタスタジオの台本も使っているが、寧ろ地元にゆかりのある作者のものを多用しており、その音楽も当時のドイツの趣味に従ったものと見ることができよう。CD化されているものはカンタータやミサ曲等があるが、数少ない。ここで聴ける皇女マリア アントニアのアルカディア風の台本によるナポリ派様式のカンタータはいずれも完成度が高く、美しい。Didone abbandonataのQuand volteはいかにもロココ風で爽やか、時にハッセ風なパッセージが交錯する。Nice e TirsiのNon V`e duoro uguale al mioは拍子に変化を持たせてあたかもオペラセリアの一場面のように劇的に聴かせてくる。

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