メンバーズレビュー一覧

ムーン・ミュージック / Coldplay

ムーン・ミュージック

Coldplay

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

心の奥底から抉り出したかのような生々しい苦しみ(「Maybe I'm just crazy / I should just be a brick in the wall / Sit and watch the t.v. / Blame everyone else for it all(もしかしたら、僕はまともじゃないのかもしれない/壁の中の煉瓦のようにしているべきなのかもしれない/座ってテレビを観て/そのすべてのために、他のみんなを咎めるべきなのかもしれない)」、「MOON MUSiC」より)、そこから立ち上がらんとする確固たる信念(「Stood on a sea of pain / Let it rain, let it rain, let it rain / I'll be back on my feet again / 'cause I am a mountain(痛みの海の上に立った/雨よ降れ、雨よ降れ、雨よ降れ/僕は再び立ち直ってみせる/だって、僕は山だから)」、「iAAM」より)。今作も歌詞が素晴らしいです。クリス曰く、今作は「自分や他の人々、そして世間に存在しているあらゆる葛藤との闘いへの返答であり、何がその最良の返答なのかを解き明かそうとするもの」なんだそうです。どんなに暗い夜にも、空には太陽の光を受けて輝く月があるように、どんなに激しく雨が降っていたとしても、それが上がった後には雲の中に虹がかかるように。「Love is the only answer(愛がただひとつの答え)」、今作は「たとえ苦しい状況の中にいるとしても、愛することを、その先に希望が存在しているということを忘れないでいてほしい」という彼らのメッセージのように感じました。

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かぁるさんが書いたメンバーズレビュー

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(全5件)

ムーン・ミュージック

Coldplay

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

心の奥底から抉り出したかのような生々しい苦しみ(「Maybe I'm just crazy / I should just be a brick in the wall / Sit and watch the t.v. / Blame everyone else for it all(もしかしたら、僕はまともじゃないのかもしれない/壁の中の煉瓦のようにしているべきなのかもしれない/座ってテレビを観て/そのすべてのために、他のみんなを咎めるべきなのかもしれない)」、「MOON MUSiC」より)、そこから立ち上がらんとする確固たる信念(「Stood on a sea of pain / Let it rain, let it rain, let it rain / I'll be back on my feet again / 'cause I am a mountain(痛みの海の上に立った/雨よ降れ、雨よ降れ、雨よ降れ/僕は再び立ち直ってみせる/だって、僕は山だから)」、「iAAM」より)。今作も歌詞が素晴らしいです。クリス曰く、今作は「自分や他の人々、そして世間に存在しているあらゆる葛藤との闘いへの返答であり、何がその最良の返答なのかを解き明かそうとするもの」なんだそうです。どんなに暗い夜にも、空には太陽の光を受けて輝く月があるように、どんなに激しく雨が降っていたとしても、それが上がった後には雲の中に虹がかかるように。「Love is the only answer(愛がただひとつの答え)」、今作は「たとえ苦しい状況の中にいるとしても、愛することを、その先に希望が存在しているということを忘れないでいてほしい」という彼らのメッセージのように感じました。

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ハプニングス

Kasabian

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

『Happenings』、ボーカリストのトム・ミーガンの脱退という危機を経て生まれ変わり、全英1位を獲得した前作『The Alchemist's Euphoria』とそれを引っ提げたツアーで見事復活を遂げたイギリスのバンド、Kasabian(カサビアン)の通算8作目のスタジオアルバムです(2024年リリース)。サージがフロントマンを務める新体制となってからはや3年、こうしてまた彼らのニューアルバムが聴けることを嬉しく思います。個人的には前作をリリースしてくれただけで感無量で、もう多くを望むまいと思っていたので、今作のリリースは自分にとってまさに『ハプニングス』、思いもよらない出来事でした。今作からは既発のシングル「Algorithms」を含め、「Call」「Coming Back To Me Good」「Darkest Lullaby」の4曲が先行シングルとしてリリースされています。このアルバムを語るにあたって、僕のお得意の長々とした蘊蓄は必要ないでしょう。全10曲、ランニングタイム30分にも満たない本作は、どの曲も3分半の中にバラエティ豊かなサウンドとフック満載の歌詞が詰め込まれた、ポップソングの様式美光る洗練されたオルタナポップソング集になっています。新生カサビアンの新たなアンセム、そしてライブの定番曲にもなりそうな「Call」「Coming Back To Me Good」をはじめ、優れたポップソングというものが持つ一聴して心を鷲掴みにされる感覚に満ちた「Darkest Lullaby」、タイトルに「Greatest Of All Time(史上最高の存在)」の頭文字をとったスラング「GOAT」を冠した「G.O.A.T」、異なるジャンルの音楽を混ぜ合わせて新たなサウンドを創り出す自分たちの創作スタイルを錬金術師のそれに例えるサージらしさが光る「Hell Of It」、そして「俺たちは徒に時を過ごすためにここにいるんじゃない/楽しい時を過ごすためにここにいるんだ(We're not here for a long time / Just here for a good time)」という歌詞が印象的な「Algorithms」がお気に入りでした。やっぱあんたらはまごうことなき「GOAT」だぜ!!🐐🐐🐐🐐

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ザ・カー

Arctic Monkeys

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

「ロックバンドがオーケストラを迎えて制作したアルバム」と聞くと、いかにもキャリアを積んだベテランバンドが作りそうなアルバムに思えますが、本作に関しては、そういったアルバムにありがちな、バンドとオーケストラが一斉に音を鳴らしゴージャスにアルバムの世界観を演出する、みたいな瞬間があまり無い(というかあえてそういった瞬間を作らないように努めている?)ところがユニークで面白いと感じます。
バンドとオーケストラが入れ代わり立ち代わり、恭しく登場しては必要最小限の音を鳴らしてスッと引っ込んでいく様は、小難しいお芝居や映画を観ているかのようでもどかしくもありますが、選び抜かれた音と残された余白、そしてアレックスのペンによるユニークな歌詞(「髭を剃って少し眠りさえすれば、僕は17歳で通るのに」が好き)で描き出されるこのアルバムの世界観は、一筋縄ではいかない深みのあるものだと感じます。
アルバムタイトルの"The Car(車)"がライブの会場へ向かうツアーバスなのか地中海の避寒地へ向かう自家用車なのかは分かりかねますが(ちなみにアルバムジャケットの車はTOYOTAのCAMRY IIもしくはCOROLLA VIという説が有力だそう)彼らはアラフォーのオッサンらしい悲哀をところどころに滲ませつつも、行く先で何が起こるのだろう?という期待や不安も込みで、その寄り道続きのロングドライブを楽しんでいるように感じます。
(初期からのファンにとっては、今の彼らは随分と遠い存在になってしまった印象があるかもしれませんが、「Body Paint」のアウトロでようやく果たされるバンドとオーケストラの邂逅と、控えめながらもがっつりと歪んだギターのサウンド、そして何より歌詞中の恋人の浮気への嘆きと見せかけた私たちへのさりげない目配せを鑑みるに、ロックバンドとしての矜持は今も変わらずちゃんと持ち続けているように感じます。)

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ジ・アルケミスツ・ユーフォリア

Kasabian

5:
☆☆☆☆☆
★★★★★

「無二のボーカリストを失って尚進み続ける」という決断を下した彼らは、自分たちを「人造人間(ホムンクルス)を生み出す」という途方もない夢に挑んだかつての錬金術師(アルケミスト)たちに擬えているのかもしれません。本作の楽曲の重々しくも力強い歌詞や星の瞬く夜空を思わせる陶酔的(ユーフォリック)なサウンド、そしてがらくたを組み合わせて人の顔を模したアートワークを見ていると、全ては己の気持ち次第、予期せぬ未来もそう悪くないものだと思わせてくれる気がします。

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コールドプレイの9作目のアルバムであり、ギリシャの数学博士ピタゴラスの同名の思想からタイトルをつけたと思わしき本作『Music of the Spheres』は、架空の惑星系「The Spheres」を舞台に、バンドがこの宇宙に、すべての人々に調和をもたらさんとする、愛に満ちた音楽になっています。本作のリードシングルとして、「僕たちみんなの中から宇宙飛行士を、素晴らしいことを成せる人を見つけようとする曲」だという「Higher Power」と、今を時めく韓国のボーイバンド、BTS(ビーティーエス)とのコラボ曲(!!)であり、「如何なるものも、人々が愛し合うことを阻むことはできない」という思いが込められているという「My Universe」の2曲が先行リリースされています。シングル曲はもちろんのこと、個人的には「ただの人間(human)である僕らが人類(humankind)と呼ばれるのは、僕らが優しさ(kindness)を持てる人間(human)だからなんだ」と歌う「Humankind」やブラック・ライヴス・マターやゲイ・プライドに触発されたというアツいロック魂が炸裂した「People of the Pride」、そしてクリスが女性のエイリアン(?)と共に愛し愛される歓びを歌う「Biutyful」などがお気に入りでした(クロージングトラックの「Coloratura」は往年のファンもきっと気に入るはず...!!)。本作の楽曲はライブで演奏することを念頭に置いたつくりになっていると感じます。来る来日公演、ぜひ本作の楽曲の歌詞を覚えて、一緒に歌ってみませんか。彼らが何を思って今まで音楽を作りライブを行ってきたのか、その思いがきっと分かると思います。

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(全5件)