若い頃、この演奏を聴いても「オーソドックスな演奏」くらいにしか思えなかったのですが、頭に白髪が混じるようになって聴き直してみると「なんと凄い演奏!」と考えが一変してしまいました。重厚な響きです。奇をてらった表現はないのに聴かせます。一気に時間は過ぎて行きます。リマスターの効果もあるのでしょう。音色が美しく気持ちが落ち着きます。曲によってムラが無いのもさすがです。あえて言うなら第九の終楽章、テノールの独唱が軽い感じで好みでないのがちょっと残念かもです。でもこれは些細な事で、ベートーヴェンの交響曲の全集として屈指の名盤だと思います。