昨今の日米英などのインディーズバンドの80年代〜90年代のロックを若い感性で時代に合わせてセンスよく昇華しているバンドがたくさん出現し、ティーンから後追いしてきた私としては嬉しい限りです。
2010年代のニューゲイザー代表バンドのダイヴの新作は、個人の社会への価値観の転換期である現代において、表面化された闇を隠すことなく表現していると思われます。それは資本主義と民主主義の発展の末の社会がユートピアではなく、嘘と欺瞞を正義とするディストピアであり、それが空想ではなく現実であるということ。
それを反映したかのようにアルバム全体が暗くて端正、硬くて美しいメロディーの海を漂う船のようで、まるで突きつけられた現実というものの影絵を見ているかのように感じます。
私は過去のロックバンドが持ち合わせた反体制的要素を冷笑的視点で作品にする彼らのような都市型アーティストこそ現代ロックに必要な精神だと思います。
このような個人と個人の間にある社会を作品に取り入れる知的で文化的なロックバンドは日本には少ないと思いますので、ぜひ彼らのインタビュー記事とともにおすすめします。