(全17件)
マーラー: 交響曲第1番 《巨人》 (ピアノ独奏版)
岡城千歳
B・ワルターによる4手版を自らソロ用にアレンジした演奏。響きの厚い部分でややノイジーに陥る傾向があり、編曲自体にちょっと無理があったのかも知れないし、そもそも他のマーラー交響曲に比べてピアノ編曲には向いていない作品とも言える。演奏は精緻で直裁だが、最後まで楽しんで聴けるかと言うと、ちょっと難しい。
マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章
ジョン・マッデン、他
第一作が好評だったので作ってみました、という感じの続編。初めからの二部作構成ではあるまい。R・ギアが登場してちょっと期待感が高まったが、脚本は散漫でエンディングも中途半端。だが、そんな不満をブッ飛ばすのが中盤の結婚式のダンスシークェンスの場面。音楽、振付、カメラワークも含めて下手なビデオクリップより数段よくできていて、このパートだけでも観る価値ありです。
J.S.バッハ: ゴルトベルク変奏曲 BWV.988 (2015年新録音)
アンジェラ・ヒューイット
モダンピアノによる「ゴルトベルク」演奏の完結編。「フーガの技法」が素晴らしかったので当然期待したが、それをはるかに超える演奏。全ての変奏が愛と確信に満ちており、「クォドリベット」のどちらかと言えば「もの静かな」演奏がそれを象徴している。
Mahler: Symphony No.2 "Resurrection" - Arrangement for Piano Four Hands by Bruno Walter
中澤真麻、他
4手連弾用のスコアを2台のピアノで弾くという珍しい試み。ワルターの見事な編曲に舌を巻く。それでも第1楽章や終楽章の前半はやや響きが混濁して持て余すが、2、3楽章は曲の構成がスケルトンに聴こえてきて、とにかく面白い。録音もキレイです。添付の帯に終楽章の歌詞をもじった気の利いたコピーが載っていて、笑えます。
The Eight Seasons - Vivaldi, Piazzolla
ギドン・クレーメル、他
アルゼンチン・タンゴとヴィヴァルディが一切の違和感なく、高度な音楽的融合を見せる。瞬時に方向を変える魚群のような機動性を備えたクレメラータ・バルティカと、官能的な美音のクレーメルのソロが生み出すちょっとラディカルな音楽体験。
Chopin: Piano Concertos No.1 & No.2
オルガ・シェプス、他
正直ジャケ買いだったが、期待を大きく超えた。内省的で、語りかけてくる感じのショパン。と言って暗くて元気が無いわけではなく、コントラストやパッセージの鋭さは見事。伴奏に弦楽合奏を選んだのは、彼女の芸風からすれば自然だし、とかく問題視されがちなこの作品のオーケストレーションの弱点が目立たず、とても賢明な選択。2曲とも緩徐楽章がすばらしい。
ショパン・プロジェクト
Olafur Arnalds、他
全編に緩慢な空気の漂うコンセプト不明の睡眠性の高いアルバム。ショパンのモティーフを謳っているが、その音楽のエッセンスは殆んど感じられない。イメージビデオのBGMには良さそうだが…
Poulenc: Ballet Suites for Piano
ジャン・ピエール・アルマンゴー
「世界初録音」の期待をものの見事にひっくり返してくれる超「よれよれ」演奏。たぶんご高齢のピアニストなのだろう、スローな部分やピアニシモのタッチはそこそこ美しいのだが、速いパートや音の厚い部分は耳を覆いたくなる。全く指が回っていないし、とにかく「よれよれ」です。こういう演奏をCD化して平気で出しちゃうところがいかにもNAXOS。憎めません…
Alban Berg: Lulu
ダニエル・バレンボイム、他
問題の多い「新ベルリン版」。ツェルハ版の異稿くらいに思っていると仰天させられる。これに輪をかけて不可解で意味不明な演出。せっかく美しいエルトマンが外題役を歌い、バレンボイムが引き締まった演奏を繰り広げているのに…
モーツァルト:ピアノ協奏曲第12、14、17、19、20&27番&2台のピアノのための協奏曲, 他
ルドルフ・ゼルキン
K466、劇的音質改善!どういうリマスターを施したのか不明だが、とにかくK466は見違えるほどに良い音。とりわけオーケストラの響きが従来盤と全く違う。潤いと適度な残響が加味されて、この傑作協奏曲の魅力がさらに引き立っている。ピアノパートは余り変わっていないが、透明度がやや上った感じ。それにしてもジョージ・セルは素晴らしい。
J.S.バッハ: フーガの技法 BWV.1080
おそらくモダン・ピアノによるこの作品の演奏における現段階での「最終形」だろう。「知・情・意」の全てを見事に満たした圧倒的な演奏。全てのコントラパンクタスとフーガが一切の弛緩と無縁に活きいきと、あるいは優しく鳴り響く。曲間の時間の取り方も見事。
That's What I Do
Barbra Lica
恐るべしカナダの女性ヴォーカル、ソフィ・ミルマンにダイアナ・パントンがキタと思ったら、今度はこれだ。何ともキュートで甘やかな声、そして正確な音程と美しい発声。しかもその歌い方は余裕たっぷりで、とてもこなれている感じ。自作のナンバーも充分に魅力的で、大変な才女の模様。来日しないかな。
Mozart: Le Nozze di Figaro K.492
ヘルベルト・フォン・カラヤン、他
最近の傾向「ちょい悪」系フィガロに較べるとヴァン・ダムの外題役は物足りない。しかしこのセットの最大の魅力は瑞々しい色香をたたえたフォン・シュターデのケルビーノと、この時期絶頂を迎えていたカラヤンの棒のもと、エレガントな響きを聴かせるウィーン・フィルの音色だ。それにしてもこのジャケットデザイン、何とかなりませんかね。
ベートーヴェン: 交響曲全集<タワーレコード限定>
ラファエル・クーベリック
ずい分と昔にスペインかイタリアのDGが廉価ボックスで発売していたが、その時はひどいジャケットだった。今回はオリジナルLP発売時のデザインに戻ったし、バイエルンとの7番を特典に付けるという配慮もニクい。演奏はパリ管との6番が至福の喜び。手兵との9番も美しいです。
マーラー:交響曲第10番~アダージョ 嘆きの歌&リュッケルト歌曲集
ピエール・ブーレーズ
よくぞ復刻!10番のアダージョは異常にクールな名演なのだが、何故か旧CBSではCD化されなかった。最近DGへの再録音が発売されたが、ラディカルで挑発的なこの旧録音の方がブーレーズらしい。オリジナルジャケットもよくぞ見つけ出してくれました。
James Levine - Mahler Symphonies<初回生産限定盤>
ジェイムズ・レヴァイン
3つのスーパーオケを振り分けたレヴァインの里程標。殊にフィラデルフィアとの9番とシカゴとの3番、7番が秀逸。オリジナルRCA盤はジャケットデザインも優れていたのだが……
Berlioz: Symphonie Fantastique Op.14, Le Corsaire Overture Op.21, etc
エルネスト・アンセルメ、他
よくぞ復刻!アンセルメのリハは最晩年の「火の鳥」とその数年前のこの「幻想」の録音があって、どちらも抜群に楽しくて面白い。特にこちらは相手が手兵スイス・ロマンドということもあって様々なことを遠慮なく求めているが、雰囲気は終始和やか。フランス語なので対訳がないとちとツラいが、それでも音楽が誕生する現場の空気は存分に味わえます。
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