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連載/コラム

第38回――舘ひろし

連載: その時 歴史は動いた

掲載: 2012年10月10日 17:59

更新: 2012年10月10日 17:59

ソース: bounce 348号 (2012年9月25日発行)

文・ディスクガイド/出嶌孝次

 

石原プロモーションの設立50周年も目前に控えた2012年は、昭和最大の銀幕スター・石原裕次郎の没後25年にあたるが、本稿の主役にとっても大きな節目である。舘ひろし——このしなやかな狼がソロ・デビューを果たして今年で35年。もっと言えば、彼が当たり役を得たTVドラマ「あぶない刑事」初の劇場公開から25年なのだが、いずれにせよ2012年は彼にとってさまざまな意味を持つ年なのだ。

舘ひろしは50年生まれで、出身は名古屋。大学進学にあたって上京していた彼は、たまたま知り合った(後に俳優となる)岩城滉一と意気投合し、74年末に原宿でバイク・チームのクールスを結党する。ヘルズ・エンジェルズを手本に舘が〈ボス〉を務めたこの集団が脚光を浴びたのは、翌75年に行われたキャロルの解散コンサートで親衛隊を務めたこと。そこから〈ポスト・キャロル〉として業界の白羽の矢が立ち、舘を中心にチームから選抜された8人がロックンロール・バンド=クールスとして活動を開始する。同年9月のデビュー・シングル“紫のハイウェイ”は五大洋光(矢沢永吉)の作曲によるものだが、根底にビートルズがある矢沢&ジョニー大倉とは異なり、舘らが好んだのはシャ・ナ・ナに代表されるオールディーズなアメリカン・ロックンロール。バンドは独自の方向を模索しながら作品を重ね、76年には映画「暴力教室」に出演してもいる。が、リーダーでヴォーカルの舘に人気が集中した結果、77年にメンバーはクールス・ロカビリー・クラブに改名してレーベルを離れ、残された舘はセクシー・ダイナマイツを経てソロ・デビュー。そんな彼が役者として初めて出演したTVドラマこそ「西部警察」(79年)だったのだ。

ハーレーを駆る巽総太郎(タツ)刑事を射止めた舘は、当初の予定通り半年間で〈殉職〉して降板した。が、その間に渡哲也に心酔した彼は、鳩村英次(ポッポ)刑事として再出演を果たす。そして、彼が石原プロ入りを果たした〈その時〉……革ジャンに身を包んだ獰猛な狼は、年齢相応のアダルトな色気を備えたオールラウンドな魅力を纏うようになったのだ。「西部警察 PART-III」(83〜84年)の放送中には自作のムード歌謡“泣かないで”を大ヒットさせ、紅白歌合戦にも出演。ボスである裕次郎の急逝によって石原軍団が危機に陥ってからも、長寿シリーズとなる「あぶない刑事」(86年)でダンディーかつコミカルな魅力を発揮するなど、軍団の威信を外側から守り続けた。そんな男が縁深い先輩のナンバーを口ずさみながら久々に歌の世界に舞い戻ってくる——今夜はブランデーグラスを傾けながら、ただただ男の世界に浸りたいものだ。

 

舘ひろしのその時々

 

舘ひろし 『HIROSHI TACHI SINGS YUJIRO』 DefSTAR(2012)

「まだまだあぶない刑事」主題歌“貴女と...”以来7年ぶりとなる音楽作品は、石原裕次郎のレパートリーに挑む企画盤に。原曲のセリフ部分と〈共演〉した“嵐を呼ぶ男”を筆頭に銀幕ヒットがズラリと並び、舘の熱唱と船山基紀のアレンジで円熟に染まる。白眉は「西部警察」の“みんな誰かを愛してる”。テクよりハートで聴かせる歌心はボスとも共通する美点だ。

 

COOLS 『クールス・ヒストリー Vol.1』 キング

舘リーダー時代の音源は本シリーズ3巻に網羅。この〈Vol.1〉は75年の2作をパックした2枚組で、ジョニー大倉や五大洋光(矢沢永吉)、近田春夫も関与した初作『クールスの世界〜黒のロックンロール〜』以上に、2作目『ロックン・ロール・エンジェルス』のテッズなノリが楽しい。

 

舘ひろし 『決定盤 舘ひろし 2012』 キング

77年の〈舘ひろしとセクシー・ダイナマイツ〉名義曲から80年までのキング・イヤーズを一望できる初期ベスト。主に舘が詞を、かの長戸大幸が多くの作/編曲を手掛け、50s気分なサンダーロードでロックンロールして恋しまくる。バンド時代のモードに歌謡性も加味した過渡期と言える。

 

舘ひろし 『Tachi the best collection』 ARIOLA JAPAN

スーツorタキシードに装いを改め、一気に艶を増したファンハウス時代のベスト。自作の大ヒット“泣かないで”(84年)から、「代表取締役刑事」の挿入歌“いとしのマックス”(91年)、一連の「あぶない刑事」発の名曲群まで、ムーディーなエコーの響く歌世界に目も眩む。

 

★石原プロ作品を紹介するコラム〈Discographic〉はこちら

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