こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第7回 ─ 〈WIRE09〉予習ディスク・ガイド

連載
オレらの夏フェス 予習・復習帳 '09
公開
2009/08/26   18:00
テキスト
文/bounce.com編集部

日本のテクノ・ゴッド、石野卓球が主催するエレクトロニック・ミュージックの祭典〈WIRE09〉に、今年もbounce.com 取材陣は参戦しますよ! その予習編として、今週は出演アーティストの作品を一挙にご紹介します!!

VARIOUS ARTISTS『WIRE09 COMPILATION』 キューン(2009)

毎年恒例の公式コンピ、今回は〈WIRE〉史上初の衛星中継での参加(!)となるジェフ・ミルズを除く、出演アーティスト23組のトラックを1曲ずつ収録した、格好の予習盤として登場です。目玉はなんといってもエクスクルーシヴ・トラックにあるわけですが、なかでも注目はオーガナイザー=石野卓球の新曲“Slaughter & Dog”! ヒプノティックに揺らめくシンセ音と緩急を付けながら展開する正調4つ打ちビートがジワジワと効いてくる、ハメ殺し系の一曲となっています。また、参加者のなかでは最古参のハードフロアは、タイトルそのままの重低音アシッド“Heavy On Wire”でガッチリとロック。その他にも、ベロシマやエレン・アリエンといった海外からの常連組や、KEN ISHII、田中フミヤら国内勢がそれぞれドカツクと強力な新曲を提供しています。さらにDJ TASAKAは、最新アルバム『SOUL CLAP』からのナンバー“Glocal Soul”に蝉の鳴き声などをチャンポンした、夏の残り香を感じさせる秀逸な新リミックスを提供。当然、既発曲のなかにもガチで燃える逸品がゴロゴロしており、〈WIRE 09〉を骨の髄まで楽しみ尽くすには必携のコンピと言えるでしょう! *北野 創

agraph『a day, phases』 キューン(2008)

電気グルーヴやDISCO TWINSの作品に関わってきたエンジニア、牛尾憲輔のデビュー作。ダンサブルな強いビートは排しながらも、いくつかのシーケンスを組み合わせることで、うねりのあるトランシーなグルーヴを徐々に焙り出していく。壮大かつドラマティックな筆致で夜明けから日没までを描出した、美しきエレクトロニック・リスニング・アルバムだ。*澤田大輔(「bounce.com」2009年2月12日掲載)

BEROSHIMA『The Catastrophe Ballet』 Platik(2004)


石野卓球とのコラボ、〈WIRE〉への準レギュラー出演もあって日本では高い知名度を誇るフランク・ムラー率いるベロシマ、オリジナル・アルバムとしては 4年ぶりの新作。エレディスコ・リヴァイヴァルの旗手的な彼らの音は相変わらずリズム・マシーンとシンセとヴォーカルで突っ走り、そこには同郷の大先輩で昨年復活したDAF師匠の影が見え隠れ。いまKAGAMIが好きな20代もフロント242が好きだったボディ好き30代も集まれ! *鈴木真広(「bounce」2004年3月号掲載)
*この作品がリリースされた石野卓球主宰のレーベル、Platikのコラムはこちら!

CHRIS LIEBING『Evolution』 C.L.R.(2003)

〈WIRE03〉でのノートPCを使用した徹頭徹尾ハードなDJで、セカンド・フロアでありながら多くの観客をトリコ仕掛けの明け暮れに叩き込んだクリス・リービングの新作が彼の主宰するCLRからリリース。かのDJでヤラレた輩は即反応、身体に響き渡る重低音全開、耐性のない人には拷問同然のハード&ヘヴィーなメガトン級ミニマル・チューンが怒濤の連打で襲いかかるKO必至な100%フロア仕様アルバム! ミニマル好きは必聴!! *(石田靖博/「bounce」2003年12月号掲載)

DJ TASAKA『SOUL CLAP』 キューン(2009)

KAGAMIとのユニット=DISCO TWINSなど、日本を代表するテクノDJ/クリエイターとして多彩な活動を続けるDJ TASAKAが4年ぶりに新作を発表! ファンキーなディスコ~テクノというイメージから一転して、ミニマル~デトロイト・テクノを軸にラテンやエレクトロの要素を散りばめたディープな仕上がりに。派手さは影を潜めたものの、徐々に上げていく硬質なリズムに昂揚&身悶えする。このド渋さと焦らし加減が最高! *郡司和歌(「bounce」2009年8月号掲載)
※インタヴューはこちら!

DUSTY KID『A Raver's Diary』 Boxer/OCTAVE(2009)

アーマンド・ヴァン・ヘルデンやモービーのリミックスで注目され、サザン・フライドからのシングルでも知られるダスティ・キッド。そのファースト・アルバムが注目のボクサーから登場した。曲名通りに初期UR的な“The Underground Persistence”やアンダーワールドの良かった頃を彷彿とさせる“Here Comes The Techno”、緊迫感溢れるミニマルの“Pluk”など、テクノ黄金期を思い出させてくれる好盤となっている。*石田靖博(「bounce」2009年5月号掲載)

ELLEN ALLIEN『Sool』 Bpitch Control(2008)

自身のレーベルからミックスCDを発表したばかりのエレン・アリエンが今度は2年ぶりのオリジナル作をリリース。今回はまさに〈エレン・アリエン〉をテーマに制作されたそうで、アルバム一枚を通じて彼女が考える彼女自身を音に表した内容だという。それゆえに4つ打ちトラックのみならず、彼女の内面に迫る繊細でダークなサウンドも味わうことができる。これは単なるテクノ・アルバムではなく、ひとつの芸術作品では? *石井隆弘(「bounce」2008年6月号掲載)

FUMIYA TANAKA『Unknown 3』 Sundance(2008)

とれまでの初リリースから早15年、KARAFUTO名義や半野喜弘と組んだDARTRIIXなどでの活動も含め、日本の、というよりミニマルの〈世界基準〉であり続けている田中フミヤ。KARAFUTOの〈Shift To The Other Time〉、セルフ解説付きのDVD「Via」といった傑作を経て、本名では7年ぶり(!)となるオリジナル作が新レーベルのSundanceから登場した。GOMAがディジュリドゥで参加した“VVV”ですら、その痕跡も判別不能なアシッド風味のドープ・ミニマルになっているわけで、トライバルなサンプル使いの“Ant Win Chain”が(あえて言えば)キャッチーに聴こえるほど。低音中心のリズムと吟味された音素材のみで全曲が構築された、クリック最先端にして広義の〈ミニマル・ミュージック〉の頂点である。*石田靖博(「bounce」2008年12月号掲載)

GABRIEL ANANDA『Bambusbeats』 Karmarouge(2008)


ハウスとクリックの境界線上を絶妙に渡るカーマローグの看板アーティスト、ガブリエル・アナンダの新作は、ダンス本能へとダイレクトにプラグ・インする極上パーカッションをベースに、ジャズ・ドラムなどのスパイスも効かせた最高級グルーヴィー・テック・ハウス! 某誌の年間チャートにて石野卓球&川辺ヒロシのInKコンビが共に選出したり、デリック・メイやフランソワKらの大御所が褒めてるのも当然でしょ! *石井隆弘(「bounce」2008年3月号掲載)

GUI BORATTO『Take My Breath Away』 Kompakt(2009)

ボーダー・コミュニティが台頭して以降、メランコリックなミニマルも数多く登場しているが、現時点での頂点はこのアルバムではないだろうか? 昨年大きな話題を呼んだのはミニローグだったが、今年はこのグイ・ボラットになるのでは?と勝手に思ってしまうぐらいの素晴らしい作品である。しっかりとフロアを意識したビートにコンパクトのアーティストらしく美しいメロディーをミックス。そこにエレクトロニカのテイストをプラスして独特のグルーヴを生み出すことに成功している。特にピアノを軸にしたトラックやボーズ・オブ・カナダを彷彿とさせるアンビエント曲では旋律の美しさが際立つのだ。2009年を代表するアルバムになるだろうし、少なくとも彼の名を知らしめるには申し分ない大傑作!! *石井隆弘(「bounce」2009年4月号掲載)

HARDFLOOR『4 Out Of 5 Aliens Recommend This』 Hardfloor(2005)

クリック・ハウス周辺での盛り上がりが甚だしいアシッド・ハウス復古(何度目?)の流れに呼ばれたか、史上最高のTB-303使いが聴けるハードフロア5年ぶりの新作(名作『TB Resuscitation』から12年!)。過去最高にシカゴ・ハウス濃度が高く、2005年にこれだけ303とリズム・マシーン(たぶんTR-909)の音が聴けるってことが奇跡! BPMもシカゴ・ハウス直系のユルさだわ、しっかりビヨビヨしてるわ、不変の美はここにあり! *石田靖博(「bounce」2005年6月号掲載)

HEIKO LAUX『Waves』 Kanzleramt(2006)

アレクサンダー・コワルスキーやディエゴを世に送り出した人気レーベル=カンツェラムトを運営するハイコ・ラウが会心のアルバムを完成させた! ヨーロッパ産ならではの太いビートとスピリチュアルなシンセ・リフが、デトロイトのアーティストとは一味違った宇宙空間を作り上げている。ヨリス・ヴォーンやテクネイジアあたりが好きな人は要チェック!! コレをフロアで聴いたらアガリまくりですな。*石井隆弘(「bounce」2007年1-2月号掲載)

記事ナビ