マニアック……だけど、現在進行形の日本のフォークはなかなか興味深いのです
峯田和伸、三上寛、前野健太、豊田道倫といった新旧フォーク・シーンのひと癖あるメンツが揃ったコンピ『ニャンでもない日には』。収録されている楽曲の多くは、テーマや歌詞表現、使っている楽器の面で70年代フォークと大差はない。恐らく、音響や時代背景以外に何も変わっているものなどないのだろう。だが、歌い手のマインドが30年前といまとでは何より違うことをこれは教えてくれる。
コンピの主宰者である岡敬士の投げやりな歌い回しと、自分が大衆とは違う尖がった存在だと暗に主張する青臭さ、またLIFE IS WATERの、演奏は技巧的ながら歌詞から強く漂うモラトリアム感など、若者が若者として表現する歌に強い現代性が感じられる。なかでも特に強烈なのが妄想カルト・シンガー、オクムラユウスケだ。友川かずき“生きているって言ってみろ”をトレースしたような楽曲にも関わらず、バカバカしすぎる歌詞が秀逸。BLTサンドのBLTを〈バックでレロレロTバック〉と解釈して叫ぶ狂いっぷりが素晴らしい(!?)。マニアックではあるが、フォークの現在が知りたい人にはぜひオススメしておきたい。
▼コンピに参加したアーティストの作品を一部紹介。