〈ロック名盤をレゲエ~ダブ目線で再解釈〉──そんな興味深い音源のリリースで、アンテナ感度高めのミュージック・ラヴァーから熱い視線を浴びているレーベルといえば? そう、それがここで紹介するNY発、レゲエを専門に扱うイージー・スターだ。97年に初めてコンピ『Easy Star Volume 1』をリリースすると、その後はアフリカン・ブラザーズ『Want Some Freedom』やトリストン・パルマ『Two Roads』などコア・リスナーの心をくすぐる良盤を続々とCD化。リイシュー・レーベルという側面を強めていく。またその一方で、98年頃からレーベル企画のパーティーも頻繁に開催。そこに出演するアーティストによって、後に看板バンドとなるイージー・スター・オール・スターズ(ESAS)が形成されていった。
こうした地道な活動を経て、2003年にレーベルは大きな転機を迎える。それがESAS名義での初作となる、ピンク・フロイド『Dark Side Of The Moon』を丸ごとカヴァーした『Dub Side Of The Moon』のヒットだ。企画のおもしろさだけでなく、スリリングなダブ作品として高い質を誇るこのアルバムで、ロック層にまで支持を拡大。以降、各国からESASにライヴ・オファーが殺到することとなる。しかし、ESASのマネージメントも兼務している小さなレーベルゆえ、その対応に追われて一時的にリリース量は減少。それでもESASの『Radiodread』(2006年)など間違いない作品でファンのハートを掴み続け、近年では〈生演奏に軸を置いた、知的でソリッドなレゲエ・レーベル〉という独自のポジションを確立している(気付けばリイシューはストップしているけどね)。そんななか、今年はESASの新作リリースのみならず、〈フジロック〉にも彼らの出演が決定。というわけで、ますます注目が集まるいまだからこそ、このタイミングでしっかりイージー・スター周辺を押さえておきたいところだ。