TERENCE FIXMER 『Fiction Fiction』 Module(2009)
ここ数年はヴィタリックのシチズンに在籍して、ダグラス・マッカーシー(ニッツァー・エブ)とユニットを組んだりしていたテレンス・フィクスマー。このニュー・アルバムでは賑やかなシンセを振りかざして、鋼鉄筋肉な文字通り(?)のボディー・ビートを聴かせてくれる。そのあたりの執拗さは住処がどこになってもまったく変わる気配がないね。
FISCHERSPOONER 『Entertainment』 Kitsune/Pヴァイン(2009)
ジゴロの稼ぎ頭だったのはもちろん、メジャー・リリースによって世界的な認知を得た、エレクトロクラッシュの権化的なユニット。今回はキツネに移籍しての3作目だ。キザな叙情メロディーを乗せたポップ・サウンドは迷いなくキャッチーで、ペット・ショップ・ボーイズにも通じるポップさだよ。殺虫ネオンみたいなジャケはよくわからないけどね。
『International Deejay Gigolos CD Eleven』 International Deejay Gigolo(2009)
このコーナーで紹介している連中以外にもティガとかボーイズ・ノイズとか、ヘルに目をかけられてビッグになった奴らは数知れない。で、この最新レーベル・コンピも新進クリエイターのトラックから往年の名曲まで、あれこれ充実の2枚組。フリークでもビザールでもストイックな逸曲揃いなのは御大の審美眼が行き届いた結果だろうね。
ZOMBIE NATION 『Zombielicious』 UKW/OCTAVE(2009)
例の暗黒ネヴァーマインドな前作以来、日本でも高い人気を集めているミュンヘンの雄、ゾンビ・ネイションの新作。現行のニュー・エレクトロにも直結しやすいポジショニングを取りながら、アシッド・テイストのハイパーな中毒サウンドをビキビキ聴かせてくれるよ。人気の“Worth It”なんて、ボーイズ・ノイズ好きにもアピールしそうだね。最高!
ADRIANO CANZIAN 『Metamorphosis』 Space Factory(2009)
今作からデヴィッド・カレッタ主宰のスペース・ファクトリーに移籍したみたいだけど……またこんな変態ジャケ!とは相変わらずのジゴロ流儀で困っちゃうな。ビキビキしたゴシックなインダストリアル・サウンドという作風も前作を受け継ぐもので、闇のなかを手探りで歩いてたら硬質な何かが身体中にぶつかってくるような痛さが……気持ちイイんだよね。
MISS KITTIN & THE HACKER 『Two』 Nobody's Bizzness(2009)
それぞれ個別に活躍するふたりだけど、コンビでの初作はジゴロから登場していたんだね。8年ぶりとなった今回のセカンド・アルバムはキティン嬢の自主レーベル発で、ニューウェイヴを猫目で見据えたハードなビートにキティン嬢の退廃ヴォーカルがカッコイイ。こういうタイプの作品も普通に多くなったけど、この独特の体温は彼らだけのもの。