こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

NEWS & COLUMN ニュース/記事

第175回 ─ ジゴロのクラッシャーたちがなぜか同時期に復活!?

連載
360°
公開
2009/05/07   16:00
更新
2009/05/07   17:49
ソース
『bounce』 309号(2009/4/25)
テキスト
文/轟ヘルミオネ

  エレクトロクラッシュ(Electroclash:以下エレクラ)を覚えてる? 2002年頃に欧米で大きなブームになったよね。本来はニューウェイヴ~ポスト・パンク~シンセ・ポップなどを、80年代リヴァイヴァルの観点からクラブ・ミュージックが取り込む動き自体を曖昧に括った言葉だよ。で、その中核にいたのがDJヘルと、彼の主宰するジゴロだった。ヘル自身はその言葉を全否定してたけど、ストイックなテクノを貫きながらもニューウェイヴやゴスやニューロマに代表される下世話な80年代感を上手く纏った彼の存在が、フィリックス・ダ・ハウスキャットやチックス・オン・スピードのように似通った嗜好の人たちをエレクラという言葉で括るきっかけになったのは間違いないよ。

 で、ハイプ扱いされて言葉は死んでも、一度広まったムードは共有され続けたわけで……ここ数年の〈ニューレイヴ〉や〈エレクトロ〉ブームを底支えしていたムードはエレクラそのものだし、いまも〈80年代っぽさ〉の流行が続いてるのもエレクラの大騒ぎが定着させたスタンダードなんじゃないかな? 今回ヘルの新作と同時期に、かつてジゴロでエレクラを盛り上げた連中が一気に新作を出してきたのは、現在の〈エレクトロ〉人気に向けたクラッシャーたちの回答なのかもしれないね。


テレンス・フィクスマーの2001年作『Muscle Machine』(International Deejay Gigolo)


ゾンビ・ネイションの99年作『Leichenschmaus』(International Deejay Gigolo)

記事ナビ