彼の音楽はなぜに人の心を惹きつけるのか?
クインシー・ジョーンズの音楽人生と人間像に迫ったドキュメンタリー映画「クインシー・ジョーンズ リッスン・アップ!」がDVD化された。90年に全米で公開された本編は、89年作『Back On The Block』の録音風景をはじめ、同作に参加したアーティストのコメントや家族の証言をカットアップの手法を用いて散りばめ、みずからの赤裸々な告白と共に進行していく作品。トランペッターからスタートし、人種問題や病に直面しながら、マイケル・ジャクソンの仕事で絶頂を極めるまでの人生は、それはもうドラマティックそのものだ。特に、それまで音楽仲間にも話すことがなかったという、故郷シカゴでの幼少期の体験を現地訪問の映像と共に振り返る序盤は、なぜにクインシーの音楽があれほど表情豊かなものになったかを解明してくれるようで興味深い。すでに故人となったマイルス・デイヴィスやレイ・チャールズらのコメントも貴重だが、彼らの発言から共通して伝わってくるのは、クインシーがいかにワーカホリックで人間愛に溢れた人物であるかということ。そんな〈ビッグQ〉が精力的に活動していた70年代のリーダー作4枚も、同じタイミングでリイシューされた。改めてその偉業を噛み締めたい。
▼このたびリイシューされたクインシー・ジョーンズの作品を紹介。