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第454回 ─ TAYLOR SWIFT

連載
NEW OPUSコラム
公開
2009/01/15   15:00
更新
2009/01/15   17:49
ソース
『bounce』 306号(2008/12/25)
テキスト
文/出嶌 孝次

〈アメリカの心〉を歌う、キュートなシンガー・ソングライターの傑作!


『Fearless』とは、まさに恐れ知らずな彼女に相応しい表題じゃないか。全米チャートで初登場No.1を記録し、T・ペインもガンズも押さえて現在も上位に居座るその驚異の一枚は、テイラー・スウィフトのセカンド・アルバム。彼女は15歳で自作したデビュー曲“Tim McGraw”が注目を集め、最終的に300万枚を突破した処女作『Taylor Swift』(2006年)のロング・ヒットで〈アメリカの恋人〉の座を射止めた、カントリー界きってのスーパー・アイドルだ。89年生まれの18歳で、出身はペンシルヴァニア州ワイオミッシング。先日のMLBワールド・シリーズのフィリー決戦で国歌を斉唱していたのは里帰りの意味もあるのだろう。

 で、今回の『Fearless』が標榜するのもストレートなポップ・カントリー=現行アメリカン・ポップスの王道だ。コルビー・キャレイと共作/共演したオーガニックな“Breathe”などで幅を持たせつつ、基本はすべてシンプルな自作曲。先行シングル“Love Story”は〈物語のようにはいかない現実〉を歌い上げた佳曲だったし、好きな男子の彼女と自分を比べて〈彼女はチアリーダー/私は観客席〉と海外ドラマばりのベタな恋模様を歌う“You Belong With Me”のように、ティーン目線の詞世界を描き出せるのも彼女ならでは。結びの力強いロック・ナンバー“Change”は、アメリカの〈変化〉に戸惑う層を鼓舞するものだとも解釈できよう。〈カントリー〉や〈アイドル〉という言葉に偏見がある人も、優れたシンガー・ソングライターの名品として『Fearless』に触れてみてほしい。

▼テイラー・スウィフトのアルバム。


2008年に限定流通された編集盤『Beautiful Eyes』(Big Machine)