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第448回 ─ SHINE A LIGHT

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/12/11   04:00
更新
2008/12/11   17:55
ソース
『bounce』 305号(2008/11/25)
テキスト
文/鈴木 智彦

転がり続ける不良ロッカーの勇姿に魂を震わせろ!!


ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト
2007年/アメリカ 監督/マーティン・スコセッシ 撮影監督/ロバート・リチャードソン 出演/ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ロニー・ウッド、チャーリー・ワッツ、バディ・ガイ、クリスティーナ・アギレラ、ジャック・ホワイト他 12月5日より東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズ他全国公開(配給/東北新社)

62年にマーキー・クラブのステージに立ってから半世紀近い年月を経てもなお、ローリング・ストーンズは転がり続けることを止めようとしない。いい歳をして(メンバー全員還暦過ぎ!)分別臭さなどまったく身につけず、ひたすらロックンロールの初期衝動に忠実であり続ける彼らの姿は、ただただ感動的だ。

 映画製作のために用意されたキャパシティーわずか3,000人以下の特別な舞台設定、スタジアム・ライヴでは考えられないセットリスト、大監督のマーティン・スコセッシが演奏のダイナミズムを完璧に記録するために、それこそ死に物狂いになりながら気合いを入れて撮影に臨んだという素晴らしい映像と音響──バンドと、そして監督やスタッフが、ロックンロールの神様の祝福を受けることだけを念頭に、そのカタルシスを得ることだけを唯一の目的に、がむしゃらにライヴに集中する姿は本当に美しい。ミック・ジャガーのしなやかで強靭なヴォーカル&ステージ・パフォーマンスも、ダイスを転がすようにリフを刻むキース・リチャーズのギターも、バンド・サウンドに深い陰影を与えるロニー・ウッドのスライド・ベースも、バンド全体を前へ前へとドライヴさせるチャーリー・ワッツのドラミングも、クリスティーナ・アギレラやジャック・ホワイトなどゲストが添えてくれる彩りの艶やかさも、そしてそれらの魅力を余すことなくキャッチしたスコセッシ監督の見事な手腕も──、このたび日本でも公開される運びとなった映画「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト」に刻まれているすべてに乾杯だ。

 追記だが、本編の公開を前に和訳化された、ミックとキースの哲学や生き様を捉えた書籍2冊──「ミック・ジャガーの成功哲学」「キース・リチャーズの不良哲学」──を併せて読むと、よりいっそうストーンズへの理解が深まることだろう。ぜひご一読を。

▼アラン・クレイソンの著書を紹介。