
Blue Smith。写真だけ見ればどこのファンキー野郎だ!?と思う人も多いかもしれない。が、30年以上のキャリアを誇るこのオルガンの名手は、ジャズ・オルガンの第一人者である故ジミー・スミスに師事したというツワモノである。そして仮にそういった裏書きを知らなくても、このたび登場する豪華なリーダー作『オルガンLOVE』にて彼の操る愛器B-3のソウルフルな響きを聴けば、その確かな実力の程はすぐにわかろうものだ。
彼にとって本名義では初のアルバムとなる『オルガンLOVE』は、DJ KAORIをフィーチャーしたイントロ的な“Talkin' 'bout Mr. K”で華やかに幕を開ける。序盤ではORANGE RANGEの“Beautiful Day”を超グッド・ヴァイブなオルガン漬けにしたかと思えば、GOING UNDER GROUNDの松本素生と河野丈洋を迎えた“ONE”をリリカルに聴かせるなど、意外な手合わせを連発。以降もクールなインストを挿みつつ、EW&F“You Can't Hide Love”をカヴァーしたSkoop On SomebodyのTAKEをはじめ、ジャジーな声の表情が美しいMARU、ゴスペラーズの村上てつや、BAHASHISHIのユラリといった面々のヴォーカル曲が続く。もちろんその背後にはオルガンの温かなヴァイブが渦巻いているわけだが、特に異色なのは、SIMONのラップを交えた“太陽にほえろ!”のグルーヴィーなカヴァーだろう。〈本来ジャズとは、その時代ごとにもっともヒップな音楽だと考えている〉とBlue Smithは語る。答えは出ているのではないだろうか?
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