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第162回 ─ KYON2がいつまでも〈さびない〉ワケは……なんてったってオトコでしょ

連載
360°
公開
2008/11/27   02:00
更新
2008/11/27   17:07
ソース
『bounce』 305号(2008/11/25)
テキスト
文/望月 哲


  82年のデビュー以来、旧来のアイドル像を鮮やかに覆しながら、時代のアイコンとして輝き続けてきた小泉今日子。ずばり彼女の最大の才能(成功しているワケ)は、作家=オトコ選びの上手さにあるのでは、と。84年には筒見京平の全曲書き下ろしによる5作目『Betty』を発表。翌年、シングル“なんてったってアイドル”で、〈アイドル〉としての自身をメタな視点から客観視し、徹底的に遊び倒すというパンクなマニフェストを掲げた彼女の活動は、グッとラディカルな方向に。その端緒となった87年作『Hippies』では、当時、気になっていたという氷室京介や爆風スランプといったアーティストを作家に招き、アルバムのA面(CDでは1~5曲目)をみずからプロデュースするまでになる。以降、着々と〈遊び仲間〉を増やし続け、魅力的な作品をリリースする彼女の姿は、世の男のコたちはもちろん、名だたるミュージシャンの視線をも釘付けにしてきた。そしてニュー・アルバム『Nice Middle』にもTOKYO No.1 SOULSET、ASA-CHANG、藤原ヒロシ、Elvis Woodstock(リリー・フランキー)といった錚々たる顔ぶれが参加。同世代である彼らと共に、ロック、ポップス、ビッグバンド・ジャズ、ジャグなど彩り豊かなサウンドに乗せ、酸いも甘いも噛みわけた四十路の心情を表情豊かに歌い上げる、大人の遊びを提示している。また大橋好規(大橋トリオ)といった気鋭の若手をさりげなく起用しているあたりも、まさに目利きの彼女ならでは。刺激と好奇心を潤いに変えて常にフレッシュであり続けるKYON2。ここからは彼女と浮名(?)を流した才気迸る〈遊び人〉たちを彼女の作品を通して紹介しよう。

▼文中に登場した作品を紹介。


小泉今日子の84年作『Betty』(ビクター)

▼『Nice Middle』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

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