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第12回 ─ 俺らの世代の『悪名』~コンピ『homebrewer's』シリーズ

第12回 ─ 俺らの世代の『悪名』~コンピ『homebrewer's』シリーズ(2)

連載
サ イ プ レ ス 上 野 の LEGEND オブ 日 本 語 ラップ 伝 説
公開
2008/11/06   14:00
更新
2008/11/06   21:16
テキスト
文/東京ブロンクス

ブロンクス ちょうど漢くんが出て来たところでMSCの話に移ろうか。KREVAが3連覇を果たした2001年の〈B-BOY PARK〉のMCバトルの時に、MSCは円山町の駐車場でCD-Rを売ってたんだよね。

上野 それ買わなかったんですよねえ……。

ブロンクス 俺はたまたま知り合いだったTAVにもらったんだけど、なんてガラの悪いヤツラなんだって思った(笑)。MSCが注目されたのは、やっぱり漢くんが〈B-BOY PARK〉で優勝したのと、ここに収録されてる“新宿・アンダーグラウンド・エリア”が決定打だったよね。

上野 すごい勢いでしたからね。めちゃくちゃ後悔したからな。「なんでCD-R買わなかったんだろう」って。

ブロンクス MSCはみんな身体が超デカかったし、当時は誰が誰だか得体が知れないところもあった。韻踏とMSCってスタイルはまったく違うけど、東西で新時代を象徴する感じだったよね。

上野 二大巨頭でしたね。

ブロンクス このコンピに“値”が収録されてるMSCのSIDE RIDEもボキャブラリーがマジでヤバい。02くんの〈荒川土手川工場/裸ナ奴隷片言〉とか〈NOビザ、LOW賃金〉とか(笑)。切り口がディープだったね。

上野 これと同時期の『帝都崩壊』も相当すごかったですからね。

ブロンクス 交番の前でブラントを持ってるっていう(笑)。

上野 このジャケはマジでビックリしたなぁ。でも、ちゃんとエンターテイメントとしてやり切ってますよね。

ブロンクス ともすると、ただの不良自慢になっちゃうところを、スキルでねじ伏せたというか。新鮮だったよね。

上野 こういうスタイルはなかったからなあ。

ブロンクス MSCはTAVだけ帰宅部で、他はみんなラクビー部とかアメフト部にいたんだよね。

上野 みんな、それで大学行ってますもんね。

ブロンクス 新大久保にあった頃のMSCの事務所に行ったら、みんなで腕相撲してるんだよ、やることなくて(笑)。ベランダで筋トレしたり。TAVはマスコット・キャラみたいな存在で、漢くんが笑いながらTAVをアルゼンチン・バックブリーカーしてたね。TAVが「やめろよ~」って(笑)。

上野 エピソードの宝庫だなあ(笑)。でも、みんな体育会系だけにすんげえ礼儀正しい。だから、逆に漢さんとかとっつきやすいんですよね。

ブロンクス 確かに。話しやすいし懐が深い。漢くんが人間的にイケてるから、周りにイケてる面子が集まるんだよね。

上野 そこはすごいデカいですね。

ブロンクス MSCとの出会いは?

上野 最初に会ったのは町田のライヴですね。出番の前にYOSROMANTICが俺らに「2ちゃんねるを見たら〈今日の面子でお前らだけいらない〉って書いてあったよ!」って余計なことを言ってきて。俺ら「なんでライヴ前にそんなことをいちいち言うんだよ」って怒りまくってたんですよ。それでライヴの最後、(ロベルト)吉野に「お前の怒りみせてやれ、レコードでも割っちまえよ!!」って煽ったんですけど、ビヨ~ンビヨ~ンってレコードが曲がっただけで割れなかった(笑)。

ブロンクス レコードは丈夫だなあって(笑)。

上野 でも、その後に出てきた漢さんが「上野、聴いてっか。お前ら最高だったよ」ってステージから言ってくれて。それからっすね。でも、それも結構最近ですよ。もうMSCが出るとなれば客が来る時代だったから。

ブロンクス MSCと降神の人気は凄かった。妄走族とか、OZROSAURUS、M.O.S.A.D、イルマリアッチの流れはただ憧れだったけど、MSCと韻踏が作った流れには俺らも自然に乗れたよね。

上野 そうっすねえ。このコンピが出た頃から急激に友達が増えていった。

ブロンクス 参加してる面子のなかだと、上ちょは誰が仲良いの?

上野 イルリメさんとかですかね。磯部くんもゴリ推ししてましたよね。

ブロンクス イルリメくんとかはECDとも邂逅して、ひとつのシーンになってたもんね。

上野 そしてラストには爆弾、アフロディーテ会が(笑)。

ブロンクス 沖縄アクターズスクール出身のオタク・ラッパー(笑)。この“J.R.A.P.”が入ったCD-Rを「BLAST」編集部でみんなで聴いて腹抱えて大爆笑して。

上野 俺はアフロディーテのアルバムに参加しましたからね。「ポッセ・カットを作ろう」という話になって、俺とやけくん(やけのはら)とでケツメイシみたいな曲を録った(笑)。

ブロンクス そうか、やけのはらくんとかまさんのアルファベッツも、この頃に発掘されたんだよね。その辺はハードコアのシーンに近い繋がり方だよね。

上野 一緒にいたわけじゃないけど、気の合うやつらがいろんなところから出てきた。『homebrewer's vol.1』の面子は、リリースの時点では知り合いじゃなかったんですよ。でも『homebrewer's vol.2』が出る頃には、ほぼ全員と繋がってました。

ブロンクス 確かにそういう感じだったよね。〈vol.1〉と〈vol.2〉の間って1年半しかないけど、この間に地下変動ががかなりあった。あと、俺が〈vol.1〉で好きだったのは……GARBLEPOOR!の“Sub Routin”かな。

上野 GARBLEPOOR!のHlDENKAさんはヤバかったですね。ラップが走ってた。

ブロンクス 歌詞はアブストラクトで不思議ちゃんなんだけど、ラップのカッコ良さだけで引っ張っていくという。いまで言う環ROYみたいな。こういう人がいてもいいよね。

上野 GARBLEPOOR!が入ってるのはセンス良いですよね。

ブロンクス ロックを聴いてる人にもGARBLEPOOR!はぜひ聴いて欲しいよね。というか、このコンピの中盤のTAKATSUKI、GARBLEPOOR!、イルリメって流れがそういう人向け。

上野 そう考えると、このコンピはうまく構成されてますよね。最初のブロックでMSと韻踏というイチオシの2組を紹介して、次のブロックで他ジャンルのリスナーにもアピールできる3組を出す。

ブロンクス 3つ目のブロックはイルムラ、GOKU、アズーロ。「ここまで付いて来たやつはディープに潜っちゃってOKだろう」っていう面子。で、潜って潜って……。

上野 最後はアフロディーテ会でわけがわからないまま終わる(笑)。

ブロンクス これくらいの時期からいろんな日本語ラップのコンピが出るようになったよね。TERRY(THE AKI-06)さん率いる420 FAMILYのコンピが出たのもこの年。

上野 420 FAMILYはよく出してましたよね。そこには韻踏もSHINGO★西成さんもいた。

ブロンクス 420 FAMILYのコンピの最初の2枚は俺がジャケをやらせて貰ったんだよね。その頃はPCなんて一切使えないから超迷惑かけちゃって怒られたけど(笑)。

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