NEWS & COLUMN ニュース/記事

第427回 ─ jazz from routine

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/11/06   01:00
更新
2008/11/06   19:20
ソース
『bounce』 304号(2008/10/25)
テキスト
文/池谷 修一

小林径のレーベルから熱いジャズの連弾!!

 ジャズの本流を行きながら、クラブを経た聴き心地を拡充する成果が小林径の主宰するroutineより到着した。まず、小林のDJイズムと共振する音を、みずからのプロデュースで生アンサンブル化したRoutine Jazz Sextetの『Routine Jazz Sextet』は、類家心平、浜崎航、秋山卓の3管をフロントに据えた瑞々しい一枚。イタリアのスケーマやデジャヴあたりのスウィンギンなモダンともリンクする作品だ。続いて、作曲/編曲も手掛けるサックス奏者で、ソロ作『ZERO』も注目された佐藤恭子のプロジェクト=NATION OF THE MULTIVERSEの初作『NATION OF THE MULTIVERSE』は小林とDJ TOMIがプロデュース。豊富なジャズ語法を繰り出しながらも尖りに傾かず、温かい。何より曲作りの多彩さと佐藤の滋味深いアルトが際立っている。特にMonday満ちるを迎えたスピリチュアルなジャズ・ワルツ“Butterfly”は出色。バークリー時代に〈トシコ・アキヨシ・アワード〉を得た佐藤とMondayとの巡り会いも興味深い。