あの〈Son Of Soul〉が作り上げたソウル・ルネッサンスの最高峰!!

最近もスヌープ・ドッグやノエル・ゴーディンらのレトロ気分なアルバムに関わっていたラファエル・サディークだが、これは究極だろう。70年代ブラック・ムーヴィーへのオマージュを謳った前作『Raphael Saadiq As Ray Ray』に続く4年ぶりの新作『The Way I See It』は、60年代モータウンなどへの憧憬を込めた、さらにレトロなアルバム。客演もしている恋人の(?)ジョス・ストーンの近作でも同様のアプローチを試みていたが、ここではハイ・テナー系のラファエル本人がスモーキー・ロビンソンやエディ・ケンドリックスのようなソウル紳士を気取り、ミラクルズやテンプテーションズなどの名曲を想起させる曲を当時とそっくりなアレンジで歌っているのだ。しかも、弦アレンジにポール・ライザー、打楽器奏者にファンク・ブラザーズのジャック・アシュフォードを招くという凝りよう。スティーヴィー・ワンダーがハーモニカを吹く“Never Give You Up”ではあの“Ain't No Mountain High Enough”の昂揚感が蘇ってくるし、ジェイ・Zの客演版も用意した“Oh Girl”はテンプス“I Wish It Would Rain”を70'sスウィート・ソウル風に解釈したような曲。加えて、ニューオーリンズの愛称を冠した“Big Easy”ではリバース・ブラス・バンドらを招き、セカンドライン・ビートをモータウン調にアレンジ……と、最近続出するソウル回帰作のなかでも、この徹底ぶりは群を抜く。〈ソウルの息子〉を名乗った以上は、とことんやり抜くラファエルなのだ。