国産ハウス・シーンの本格派が聴き応え十分な傑作を完成!

やはり曲そのものがシンプルに力強い。〈聴かせること〉に対する強い意志がSOUL SOURCE PRODUCTIONこと箭内健一の仕事には漲っている。2年半ぶりの新作『I'm home』はさらに格別だ。彼のキャリアはDJに始まり、レコード・ショップを運営し、アーティストをマネージメントし、2000年からSoul Source名義でジャクソン5やアース・ウィンド&ファイアのリミックス集を監修。箭内の意図のもと、出色のDJ陣を集めて音盤好きの夢を現実にした。続く彼の諸作に交わる顔ぶれはガラージのレジェンドから北欧の変化球ハウス、日本の重要な面々、とレンジは相当に広い。
さて、現状盛り上がっている国産ハウスの下地にはクラブ・ジャズやレア・グルーヴがあるが、箭内はそこにもっとも直球な人だと思う。レスリー・カーターをシンガーに迎えて炸裂する新作冒頭の“High On Love”は、そのあたりがストレートに滲む激ソウルフルな曲で、かつてのNYハウスの空気が充満。続いて盟友のMonday 満ちるが登場する“Come Into My Life”ではサルソウル的なストリングスも流し込み、一気にピークへ。また、デリック・メイ“Strings Of Life”を援用した“Feels Like Home”はヤンナ(エディ・ミーツ・ヤンナ)が醸すエモーショナルなムードと美麗なピアノの昂揚感ですでにフロアを沸かせている。さらに、充実したダウンテンポも介してアルバムの〈流れ〉を聴かせようとするこだわりにも注目。特にバカラック引用のインストから、新顔のマリ・ストーンを起用した“Pure & True”では切なく泣かせてくれる。
▼SOUL SOURCE PRODUCTIONの近作を紹介。