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第417回 ─ MAKI MANNAMI

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/10/23   22:00
ソース
『bounce』 303号(2008/9/25)
テキスト
文/岩見 悠里

麗しいサウンドスケープが囁きかける、新しい感覚世界とは?


  自身でプログラミングやエディットを手掛け、ピアノを弾き、神秘的な歌も披露――そうした演者の多才ぶりを知ろうが知るまいが、もっと注目されるべきだった『自己解放の旅』に続いて、万波麻希がセカンド・アルバム『THE WORLD OF SENSE』を完成させた。今回は須永辰緒がトータル・プロデュースを担当しているが、具体的な制作は前作同様に彼女自身が担い、アトモスフェリックな意匠を凝らしたヴォーカル・トラックから、“マルサの女”も含むインストまでを緻密に作り上げている。一方、自身の手掛けたサントラ『パビリオン山椒魚』の主題歌に彼女を招いた菊地成孔のサックス参加曲があったり、indigo jam unitの清水勇博が全編でドラムを叩いたり、他にもSOIL&“PIMP”SESSIONS/J.A.M.やquasimode、JABBERLOOPのメンバーが駆け付けるなど、演奏陣が異様に豪華なのも今作の特徴だろう。ニコラ・コンテの手掛けた4ビートの“Lotus Sun”ではジャズ・シンガー然とした姿が楽しめるし、ドイツのアヴァン才女であるAGFも関与した“Time To Say Goodbye”も壮大だし……この多彩でフリーフォームな内容がジャズとしてどう評されるのかはわからないが、スピリチュアルでクールな音楽だということは確かだ。

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