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第415回 ─ NINE INCH NAILS

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/10/09   02:00
更新
2008/10/09   17:59
ソース
『bounce』 303号(2008/9/25)
テキスト
文/柴田 かずえ

創作意欲を抑えきれず、トレント・レズナーが今年2枚目のアルバムを完成!!

 心身共に解放された闇の帝王が、魅惑の毒牙を剥き出しにして音楽シーンに激震をもたらす! ナイン・インチ・ネイルズの活動において足枷となっていた古巣のインタースコープを離れ、自主レーベルを設立したトレント・レズナー。まずは今年3月にオフィシャル・サイトでアルバム『Ghosts I-IV』のダウンロードをスタート(7月にパッケージ化)。その興奮も冷めやらぬなか、先頃ニュー・アルバム『The Slip』を完成させた。一連のリリース・ラッシュは〈サポートしてくれたファンへの感謝の気持ち〉らしいが、これは緩慢な動きを見せていた帝王がついに最強の魔力を得て、創作意欲を爆発させていることを意味しているのではないだろうか?

〈甘美な白昼夢を演出するサントラ〉といった趣の前作から一転、本盤では破壊神となったNINが怒濤の轟音サウンドをブッ放している。静謐な世界から湧き起こったクリエイティヴィティーの大嵐は、聴覚のみならずブックレットやDVDで、視覚からも脳髄をガクガク揺さぶってくる。いつだって常識を爆破し、リスナーの度肝を抜いてきたトレントが見つめる先にはいったい何があるのか? とにかく、まだまだNINが私たちを未体験の新世界へと誘ってくれることは間違いないだろう。