ピコピコしてるだけじゃないスウィング感や、栗原みどりの歌声をこのうえないチャームにして、世界的に急増しているチップ・チューン作品のなかでも、いわゆる音楽的な意味での広い振り幅を見せてきたのがYMCKです。今年の初頭にメジャー・デビュー作となる『ファミリージェネシス』をリリースしたばかりですが、今度はカヴァー・ソング集を発表、しかも2タイトル同時リリースです! もう1タイトルは別掲するとして……まずこちらで紹介するのは、70年代のフォーク・ソングを取り上げた『YMCK SONGBOOK -songs before 8bit-』。遠藤賢司の“満足できるかな”、井上陽水の“傘がない”、吉田拓郎の“人間なんて”などなど、アルバムの表題からもわかるように原曲はファミコンなどの8ビット・ゲーム機すら誕生していない時代のものばかりなのですね。そもそもレトロなロービット感のフレッシュさを楽しむ側面もあるチップ・チューンが、それに輪を掛けてレトロな題材を取り上げるとどうなるのか……そこに立ち現れるキュートな魅力を味わいましょう。
▼YMCKの作品を紹介。