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第16回 ─ 〈ライジング〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/09/25   18:00
更新
2008/09/25   19:03
テキスト
文/澤田大輔、土田真弓

今年で10周年を迎えた北海道最大級のロック・フェスティヴァル〈RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO〉の復習編第2弾! 参加者3名による対談という名の思い出話をお届けした第1弾に続いて、今回は各アクトを詳細にレポートいたします!

8月15日(金)

15:00~
■くるり @ SUN STAGE

  初日の幕開けはあいにくの雨模様。水たまりを跨ぎながら辿り着いた〈SUN STAGE〉には、トップバッターのくるりがいた。「10周年おめでとうございます」という岸田繁のMCに会場がわっと沸く。

 “ワンダーフォーゲル”からはじまって、“飴色の部屋”へと曲は続いていく。「雨、止ましましょう」と新曲“さよならリグレット”。雨が彼らのメロディーを濡らして、しっとりと光らせている。なんだろ、この気持ちよさは? フォーキーなサウンドがエゾの空気と混じり合って肌を優しく撫でている。落ちてくる雨粒も気分を滅入らせたりすることなく、気分を潤してくれるのだった。そこに〈聴かせてほしいな〉と思っていた大名曲“ブレーメン”が。この日一発目の涙が落ちた。「(雨は)ええ思い出になんねん。ビショビショ大好きやろ? グショグショ。大好きや、グショグショ。濡らしていこ!」と会場を煽る岸田。もちろんそれに答えて、エンディングの“東京”の時にはグショグショでしたよ。*桑原

17:00~
■矢野顕子 @ RED STAR FIELD

  いまにも降り出しそうな曇り空の下、矢野顕子が〈RED STAR FIELD〉に登場。2年前はyanokamiとして出演した彼女だが、今回はピアノ弾き語りだ。ステージの奥には赤い垂れ幕が下がっており、その前でひとりグランドピアノに向かう矢野の姿は、野外フェスというよりは由緒正しいホールでのリサイタルのような気品を漂わせている……と思いきや、いきなり「これでいいのだ~♪」と赤塚不二夫ソング(?)の“BAKABON”からスタート。このライヴの数日前に逝去した赤塚への哀悼を込めた歌がじんわりと染み入ってくる。きっと観客の心の中では、さまざまな赤塚キャラが踊っていただろう。中盤では秋に発表される新作から3曲を披露。いずれもブルース的な哀愁を湛えた、渋いストイックな曲であった。そして槇原敬之“雷が鳴る前に”と奥田民生“股旅”のカヴァーを経て、降り出した雨のなか“ごはんができたよ”“ひとつだけ”の超名曲2発で終演。

 鳴らされた音はヴォーカルとピアノ、ただそれだけ。そのふたつが美しく絡み合って非常に難度の高いアンサンブルを織り成していたのだが、それをわかりやすくポップに聴かせる矢野マジックは、雨中の野外というコンディションでも恐ろしいくらい冴え渡っていた。*K10

17:50~
■Shing02 @ MOON CIRCUS

 霧雨が煙るなか、まずはバンドがステージに現れる。ドラマーとDJ、女性ヴァイオリニストという編成で、赤と黒で統一された衣装が鮮烈だ。そしてShing02は黒いTシャツに、なんと真っ赤なマントを纏って登場。その姿に強烈なインパクトを受けた観衆は大歓声で彼を迎える。DJソロで口火を切った演目は“序”“銃口”“渇望”といった最新作『歪曲』の楽曲が中心で、ダビーな重低音に和のテイストをミックスしたサウンドがヘヴィーに鳴り響く。途中で風が強まり、横殴りの雨のなかで真紅のマントを翻し、勢い良く言葉を打ち出すShing02の姿は、ラッパーというよりまるでロック・シンガーのよう。シチュエーションもハマった“殴雨”が個人的にはハイライトだった。随所でヴァイオリン・ソロやDJ対ドラマーのセッション(ネタは“Apache”)も挿んだ、非常に見応えのあるショウだった。この日は終戦記念日ということで“PEARL HARBOR”をプレイし、そこでShing02が「祖先のために、そしていま戦禍のなかにいる子供たちへ」と黙祷を呼びかける彼らしい場面もあったが、開放的なロケーションもあってか、それが極めて自然な雰囲気だったのも印象深い。*K10

18:30~
■曽我部恵一ランデヴーバンド @ RED STAR FIELD


写真/久保憲司

  頬を撫でる涼しい風。空がゆっくりと暗くなっていく――そんなシチュエーションの〈RED STAR FIELD〉に登場した曽我部恵一ランデヴーバンド。「よく来たね~みんな~」という曽我部のMCが会場全体を柔らかく包み込む。ソフトでメロウでハートウォーム。そんな音楽を届けてくれた彼ら。“浜辺”のようなナンバーが風景にめちゃくちゃハマってて、そんな空気に酔わされたのか、そこら辺でカップルたちが身体を寄せ合い始めたのを目撃した。素敵じゃないか。バンドの演奏も素敵だった。小暮晋也のギター・プレイをはじめ、メロウだけど確かなロック・スピリットを感じさせるこの日の彼らはまるでシュガーベイブのようだった。「みんな知ってる曲だと思う。知らなくてもいい」というMCと共に始まったのは、加山雄三の“君といつまでも”のカヴァー。ガムシャラであまりにラフな曽我部のヴォーカル。その歌声がゆっくりと空に吸い込まれていく美しいシーンは、今回のフェスでもらった一番の宝物だ。個人的には、サニーデイよりも感動的なステージであったと思う。*桑原

19:00~
■東京事変 @ SUN STAGE

  粋な着流し姿で現れた男衆に続き、白の着物+黒の羽織を纏って登場した林檎嬢。伝統的な衣装を個性的に着こなしたファッション同様、この日の東京事変は上品にエンターテインされたステージングで観客を魅了した。

 冒頭こそ椎名林檎名義の“丸ノ内サディスティック”であったものの、全体的には最新アルバム『娯楽(ヴァラエティ)』の楽曲を中心に構成された今回のセットリスト。ジャジーでソウルフルでファンキーなサウンドにのせて、林檎嬢は拡声器を使用したり、舞台上を艶やかに練り歩いたり、流し目をキメたりと、曲によってくるくると変化する独特な歌世界をシアトリカルに体現していく。

 その後は、今年の〈ライジング〉で個人的に観たいラインナップを披露したり(スチャダラパーやマボロシ、BARBEE BOYSなどだそう)、亀田誠治との軽妙なトーク(「師匠、何か皆さんに申し上げたいことはありますか?」と話を振られて観客の期待が一身に集まり、「そんなに求めないでください(笑)」と恥らう亀田に対し、「気持ち悪い(笑)」と愛あるダメ出しをする林檎嬢)を挟んだりしながら、ステージは一気にクライマックスへ突入。“黒猫道”“閃光少女”でキャッチーかつアッパーに盛り上げ、得も言われぬ昂揚感を残してメンバーたちは去っていった。音楽家としてのみならず、表現者としても彼らは超一流なんだなあ、と(特に林檎嬢には女優魂のようなものすら感じた)。そんなことを強烈に思い知らされたパフォーマンスだった。*土田

19:50~
■JUN SKY WALKER(S) @ EARTH TENT

  舞台の上で、花火のようにラウドなギター・サウンドが炸裂する。すぐさま「キャー」という悲鳴が、大混雑の〈EARTH TENT〉にこだました。声質から察するに、俺とさほど歳が変わらない女性だろう。つまり、90年代のアタマ、バンド・ブームにどっぷりとつかっていた同世代なはず。目の前には、JUN SKY WALKER(S)の4人。聴こえてくる歌は“全部このままで”だ。 このオープニングからずっと、会場は大合唱大会となった。セットリストは、“歩いていこう”“スタート”“すてきな夜空”とジュンスカ・ゴールデン・ヒッツ的なもの。しかし耳を凝らせば、バンドの全盛期には幼かったはずの若い子たちも合唱しているではないか。ジュンスカ・ナンバーってスタンダード化してるんだな――もみくちゃになりながらそんなことを考えていた。それにしても、遠目で見るとメンバーは全然あの頃と変わりない。純太の溌剌さも、呼人のクールさも全部あのままで。彼らはいまも熱いパンクスのまんまだった。ラストの“MY GENERATION” の頃には、こちらも無我夢中で合唱してました。*桑原

20:50~
■BARBEE BOYS @ EARTH TENT

  偉大なる復活――とはボブ・ディランとザ・バンドのライヴ・アルバムのタイトルであった、などとボンヤリ考えながら、BARBEE BOYSの登場を待つ。〈EARTH TENT〉内はザワザワというノイズが充満。古くからのファンらしき集団が浮き足立っているのが見えるが、自分の足下を見たところ、同じだった。お馴染み〈男と女のテーマ〉に乗って、彼らがやってきた。お、KONTAは相変わらずジャケットを腕まくりしてるね。なんて冷静に舞台上を眺めていたのもつかの間、“ノーマジーン”“目を閉じておいでよ”“女ぎつね on the Run”という名曲の連射で興奮状態に突入。“ふしだら vs よこしま”なんて初期のナンバーまで飛び出して、ウハウハ。それにしても、やっぱこんなバンド、他にいねえや。そんな思いがライヴ中、終始頭のなかを駆け巡ってた。ニューウェイヴ的リズムと歌謡曲的メロディーが無理なく合体し、野暮と粋の表裏一体世界が作り上げられていて、経年劣化などまったく感じられない。つまりそれって後継者がいなかったってことなんだよな。とか考えてると、“負けるもんか”“C'mon Let's Go”という強力ナンバーが放たれる。終演後の俺はハチの巣状態でした。*桑原

21:40~
■ミドリ @ GREEN OASIS

 ジャジーなSEと共にメンバーが登場……したはずだが、4人の姿が、み、見えない! 〈GREEN OASIS〉から溢れた観客がステージの外を何重にも取り囲むという異常事態のなか、エネルギー全開で繰り出されたのはジャジーなお囃子パンク“うわさのあの子”。いまやトレードマークであるセーラー服に身を包んだ後藤まりこはデス声で煽りまくり、フロアではやや心配になるくらいのモッシュ(ほぼ暴動)とオイ・コール(ほぼ怒号)が巻き起こる。その心配は的中したらしく、1曲目が終わると後藤がステージ前の観客に向かって叫ぶ。「(倒れている人を)助けたれ! 死ぬやろ! みんなちょー、横避けなって! イケるか? あかんヤツおれへんか?」。この呼び掛けに、会場のあちこちから「カッコイイ~」と声があがる。かと思えば、〈デストローイ!!〉という絶叫がインパクト大なカオティック・ラヴソング“ゆきこさん”が間髪入れずに放たれ、結局フロアは異常な躁状態へ突入。この日のセットは『セカンド』からのものがほとんどだったが、“あんたは誰や”における錯乱まがいのパフォーマンス中、ようやくはっきり見て取れた後藤の姿にビックリ。坊主頭で目の周りには真っ黒な縁取りが。あまりの鬼気迫り具合に棒立ちになっていると、可憐なピアノがリードする“POP”でステージはあっという間に終了。カリスマ的な後藤まりこの存在感もさることながら、破天荒ながら妙にピュアな音世界に魅入られた約50分であった。*土田

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介



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