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第407回 ─ PEDALLING ON!

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/09/18   02:00
更新
2008/09/18   17:39
ソース
『bounce』 302号(2008/8/25)
テキスト
文/蒸芋

大人気のピスト・バイクってなんだ!?


  大都市ならではのエクストリームな仕事人、バイシクル・メッセンジャーを発信源に世界的な注目を集めている通称〈ピスト・バイク〉。競輪用自転車の固定ギア(つまり足を止めればストップしてしまうため基本ブレーキはない)を使ったアナログ構造ゆえに、移動ツールとしてだけでなくさまざまなトリックが街乗りから生まれてきた。ここ日本も例外ではなく、ミュージシャンやファッション界のカリスマ、スケーターをはじめストリートでも盛り上がりをみせている現在(写真集「MULTITUDE under the cycle madness」にはロボ宙や藤原ヒロシらの愛車が掲載)。街を舞台にしているというのがこのカルチャーの前提であり、大きな特徴でもある。

 そのなかでも注目を浴びているのが、世界ツアーを回るほどシーンを引率する存在として知られているサンフランシスコのマッシュというクルーの元メンバー、ダスティン・クレインがシアトルに移住したことによりスタートした、シアトルのピスト・シーンの中核を成すイヴェント〈FAST FRIDAY〉だ。初期の地下倉庫でのセッションに始まり、現在では100人以上を集めるこのイヴェントのDVD「FAST FRIDAY」に写し出された映像は、過去のどんなスポーツとも違い、またその乗り物が誰しも親しみのある自転車だということでなおさら驚かされるだろう。これは、自転車の固定観念を覆すエキセントリックでまったく新しいスタイルであり、最新ストリート・カルチャーの記録でもある。