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第12回 ─ 〈METAMORPHOSE〉復習編 当日のプレイバック対談&レポート!

第12回 ─ 〈METAMORPHOSE〉復習編 当日のプレイバック対談&レポート!(2)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/28   13:00
更新
2008/08/29   11:16
テキスト
文/bounce.com編集部

参加した二人のベスト・アクトをレポート!

■25:00~
THEO PARRISH @ PLANET STAGE

  セオ・パリッシュの待ちうけるメタモ最深地帯〈PLANET STAGE〉へ向かって、山をうねるサイクリング・ロードをぶらぶら登っていくと、パット・メセニーの爪弾くギターが聴こえて来た。なんと1曲目は現代音楽の巨匠、スティーヴ・ライヒの“Electric Counterpoint”! そのミニマルかつ繊細な旋律に身も心も揉み解されて、ウォーミング・アップは完了。あとはただひたすら、セオの繰り出す変幻自在のDJプレイに体を任せるだけだ。コンゴス“Congo Man”がファンキーにうねり、スティーヴィー・ワンダー“Summer Soft”の晩夏を洗う通り雨のようなハーモニーが注ぎ込まれ、そこに突如、ファラオ・サンダース“You've Got To Have Freedom”の4ビートが割って入り……かと思えばビートの骨格だけでできたシカゴ・ハウスがフロアーをジャックする。古今東西のグッド・ミュージックを、暴力的なイコライジングで粘土のようにこねくり回し、圧倒的なグルーヴを生み出すその手つきに、終始笑顔で踊らされっぱなし。野外パーティーならではの開放感も、セオのDJプレイが持つ(楽曲とは一味違った)ハッピーなヴァイブレーションを増幅させ、最高の祝祭空間が作り上げられていた。隣のボーイズが「セオちゃん最高~!!」なんて叫んでいたけど、あの場にいたオーディエンス全員が同じ気持ちだったんじゃないだろうか。がっつりとハメられ過ぎて、裏の時間帯だったマニュエル・ゴッチング&アシュラを見逃してしまったけど、後悔は一切ありません! *澤田

■27:50~
GALAXY 2 GALAXY @ SOLAR STAGE

  やんわりと小雨が降り、空が明けはじめた午前4時前、メインの〈SOLAR STAGE〉に現れたUR軍団。この日最も観客が入った(後ろまでパンパン)彼らのライヴは、想像以上にショー・アップされたものだった。冒頭の“Jupiter Jazz”のコズミックなシンセ・フレーズにMCをかぶせ、オーディエンスのテンションをしょっぱなからマックスまで引っ張り上げていく。続く“Return Of The Dragons”“Timelime”といった一見ベタな選曲も、うねりまくるベースのグルーヴによってファンキーさが増強されていたせいか、各音の絡みが生々しく、新鮮に響く。ロウなビートが効いた中盤を抜けて、ラストは必殺の“Jaguar”から、デトロイトの同胞であるデリック・メイ“Strings Of Life”のカヴァーに突入! あちこちで「うおー!」と怒号が聴こえるなかを、エレガントなピアノ・フレーズが飛び交い、高揚感を煽りまくる。これで終了かと思いきや、メンバーが再び登場。アンコールでは、「これがテクノだ」といった意味のMCを挟んで“Hi-Tech Jazz”が……(思い出して号泣)。親父テクノ・リスナーも、うさぎの耳バンドをつけた露出ギャルも巻き込んで、何度目かのクライマックスへと突入していった。頻繁に繰り返される「Make Some Noise!」、「Put Your Hands!」といった煽りを受けて、客席から返されるスクリーム。ビートに合わせて笑顔で体を揺らすオーディエンスたち。ブラック・ミュージックの歴史を精神的支柱に据え、そのソウルを匿名的に曲に注入してきた彼らがここまでオープンなライヴをやってくれたことがなによりも嬉しかった。バンド・セットに合わせた音響だったために、出音がメロウすぎて軽めのフュージョンっぽくなってしまった場面が何度かあったものの、彼らが持つプライドとメッセージはしっかりと日本の地に受け入れられたのではないでしょうか。*ヤング

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