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第11回 ─ 〈サマソニ〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!

第11回 ─ 〈サマソニ〉復習編 Part.2 各アクトの詳細をレポート!(2)

連載
オレら の 夏 フェス 予習・復習帳 '08
公開
2008/08/28   18:00
更新
2008/08/28   18:38
テキスト
文/北野 創、桑原シロー、澤田大輔、土田真弓

8月10日(日)

11:30~
■小泉今日子 SPECIAL BAND @ ISLAND STAGE

 会場に到着すると、すでに〈BEACH STAGE〉内は人人人。案の定、入場規制中。なんてったって天下のアイドルが久々ステージに立つんだもの。こうじゃなきゃおかしいってもんだ。ふふ~ん、読みは当たったぜ、などと悠長に考えている場合ではなく、何とか人混みを掻き分け鑑賞スペースを作った次第。〈BEACH STAGE〉2日目の幕開けは、小泉今日子とASA-CHANGや鈴木正人らを擁するSPECIAL BANDの面々が務めることなった。初っ端は“艶姿ナミダ娘”。どう考えてもリアルタイム派ではなかろうヤングたちが歓声を上げている。なんだかよくわからないけれども、素晴らしい。素晴らしいのは、彼女の存在感もそう。“月ひとしずく”“東京ディスコナイト”と曲が続くにつれて、徐々に吸引力を増していく歌。11月にリリースされるという新曲“小泉今日子はブギウギブギ”というノベルティー調の曲も彼女が歌えば、めちゃカッコよく光り輝く。この有無を言わせぬ説得力こそ、ミューズのパワーだ。とかいろんな考えを巡らせているうちに早くもエンディングに。一般公募で選ばれた21名のブラス隊(下は11歳の女の子、上は56歳のおじさんまで在籍)を呼び寄せ、世紀の名曲“なんてったってアイドル”へとなだれ込む。もちろんのこと、そこに集った観客は大フィーヴァー状態。彼女が去ったあとも、俺はステージに向かって夢中で手を振り続けていた。*桑原

12:35~
■LATE OF THE PIER @ MOUNTAIN STAGE

  乱立するUKダンス・ロック勢のなかでも、ひと際エキセントリックなサウンドで注目を集める4人組、レイト・オブ・ザ・ピアー。〈サマソニ〉直前にはデビュー・アルバム『Fantasy Black Channel』もリリースして、絶好のタイミングでの初来日となったわけだけど、そのパフォーマンスは噂に違わぬキレ具合だった。まず、目がいったのはメンバーの衣装。特にヴォーカルの〈それ、袖が破けてるんじゃないの?〉的なヒラヒラ&スケスケ服とか、冷静に見るとキワモノ一歩手前なんだけど、全員スラッしたモデル体型ということもあってか、何故かそれらを難なく着こなしている。素直にスゲエ。そんな姿のまま、終始ハイテンションに繰り出されるサウンドは、エレクトロとかニューウェーヴとか初期パンクとかを、よく噛まずに飲み込んだ感じで、脱臼的な曲展開と共にこちらの身体をビシバシと鞭打つ。“The Bears Are Coming”では、木の板をぶら下げただけの手作り感あふれる打楽器をテキトーに叩いたり、終盤ではヴォーカルが興奮と疲労のあまりか仰向けに寝転がったりと、最後までやりたい放題にバーストしっ放し! 観てる最中の手に汗握る狂騒感も凄かったけど、それよりも終演後に感じた脱力感のほうが、彼らのキレっぷりを物語っているような気がする。*北野

13:15~
■MUTEMATH @ SONIC STAGE


MUTEMATH (c)SUMMER SONIC 08 All Rights Reserved.

  ニューオーリンズからやって来た暴れん坊4人組、ミュートマス。きっと凄いパフォーマンスを見せてくれるはず、と前評判は高かったが、実際は期待を上回る内容であった。アルバム『Mutemath』からの楽曲をいっそうワイルドにラウドに再現し、魅力を何倍にもアップさせていた彼ら。ジャム・バンド? プログレ・バンド? それともニューウェイヴ・リヴァイヴァル系バンド? どれも当てはまるようで、どれも見当違いな気がする。それらすべての要素を兼ね備えているけれども、あちこちに暴走を繰り返した挙句、ゴール地点を見失ってしまった印象があり。ただし弾き出すグルーヴは超一流。パワフルなリズム・セクションが見ものであったが、特にドラマー、ダーレン・キングによる驚異のビートは、稲妻のように観客の頭の上を走り抜け、〈SONIC STAGE〉を抜けて空へと駆け上っていくのが見えた。じっとしていることができないのか、メンバーが途中楽器を交代したりしていたが、そこで巧みなプレイを披露するもんだから、あっけに取られたりして。終盤、ドラム・セットをメンバー3人が囲み、乱れ打ちするシーンも愉快痛快だった。あの日以来、再来日のラヴ・コールを繰り返す日々です。*桑原

14:35~
■CRYSTAL CASTLES @ DANCE STAGE

 この二日間はエレクトロなバンドをたくさん観たけど、最も暴力的な〈鳴り〉を聴かせてくれたのが、この男女デュオ。チップ・チューン流儀のファットなシンセ・ベースが終始ビコビコと垂れ流され、聴いてるこっちの体はビリビリ振動しまくり。そのイタロ・ディスコ~エレ・ポップ風味の淫靡なサウンドに合わせて、イーサンがドラムを破天荒に叩きまくり、アリス嬢が飛び跳ねながら絶叫する――な、なんなんだこれは? 強烈なファースト・コンタクトにしばし唖然。しかし問答無用のテンションに煽られ、踊らずにはいられない。性急なディスコ・パンクとは真逆とも言える、もっさりとしたディスコティックなグルーヴを放出しながら、ステージングは徹頭徹尾パンキッシュ。ドラムに上り、床を転がり、フロアーにダイヴするアリス嬢。なにやらキックが連打されてる……と思ったら彼女がマイクで自分の頭を叩く音だったり。そんなぶち切れたステージングにオーディエンスも爆発しっぱなしの40分。彼らが手がけたクラクソンズのリミックスも披露しちゃう感じ(しかもこの曲が一番盛り上がった)も新鮮でした。*澤田

17:15~
■JUSTICE @ MOUNTAIN STAGE

 左右にマーシャルのアンプがデーンと積まれ、その間にはヴィンテージな電子機材。そしてど真ん中に十字架オブジェ。音があれでステージングがこれっていうのがかっこいいし、何度見ても興奮させられる。その十字架がビカーッと光り、二人の姿が浮かび上がると、「うおー!!」っと大歓声。ディストーションとコンプがかかったベースがギュコギュコとうねり出し、〈MOUNTAIN STAGE〉中のオーディエンスが揺れまくる。あの“D.A.N.C.E.”も変則的な構成で聴かせるなどして、突出したピークを避けていくストイックな展開ながら、フロアーの放出する熱量は半端ない。なにしろピーク・タイムに繰り出されたのは、ジャスティスvsシミアン名義の“We Are Your Friends”。確かに彼らの出世曲ではあるけど、ちょっとマニアックなんじゃあ……なんて思う間もなく、「We! Are! Your Friends!!」の大合唱が巻き起こる。いやはや、恐れ入りました。他のエレクトロ勢と比べても、やっぱ家元級の彼らの風格はケタ違い。圧倒的にダンス・ミュージック流儀のサウンド&ステージングなのに、それでいて最もロッキンなカタルシスを味わわせてくれるのが凄いし、彼らのマジカルな部分だなあ、と感じ入った次第。終始、黙々と機材を操りながらも、ロック・スター然としたカリスマ感を放つ二人でした。*澤田

18:00~
■SPIRITUALIZED @ SONIC STAGE


SPIRITUALIZED (c)SUMMER SONIC 08 All Rights Reserved.

  〈危篤状態から生還〉というトピックに加え、救急救命室(A&E)での体験を音作りに反映させたというトンデモない新作『Songs In A&E』を携えて復帰後初の来日を果たしたジェイソン・ピアース。ギター×2、ドラム、ベース、キーボード、女性コーラス×2という編成を確認し、サイケで来るか、ゴスペルで来るか……と待ち構えていた筆者がいきなり浴びせかけられたのは、暴力的に放射されるフィードバック・ノイズ。静寂と轟音が混在する甘美な混沌のなかで、〈ラ・ラ・ラ・ラ……〉というコーラスだけが規則的に響き渡る。MCは一切なし。粛々と進められたこの日のセットリストは、“Lay Back In The Sun”といった初期の定番サイケデリック・ナンバーからガレージな“Cheapster”、聖歌のごとき気品すら漂う新作のリード曲“Soul On Fire”まで、彼のキャリアを概ね総括した内容だ。そしてフィナーレは、スペースメン3時代の“Take Me To The Other Side”。〈フジロック〉でのマイブラ級と言えば想像がつくだろうか? 永遠に続くかのようなノイズを大量放出した挙句にギターを床に叩き付け、無表情でステージを後にするジェイソン。……が、メンバー全員が舞台を去った後にふたたび登場した彼は、観客を讃えるかのごとく、フロアに向けて盛大な拍手を送っていた。ストイックなプレイの最後に見せたその姿は、寡黙ながらも真摯な人柄を象徴しているようで深く印象に残った。*土田

18:05~
■ALICIA KEYS @ MARINE STAGE

  アリーナ/スタンド席ともに満員となった〈MARINE STAGE〉。まずはホーンやコーラスも含めた大編成のバック・バンドが、超タイトな演奏でオーディエンスを惹きこむなか、白いタンクトップ姿のアリシア・キーズが歌いながら登場。凛々しいお顔と健康的な肢体が眩しいぐらいに輝いていて、ホント絵画のなかの女神のごとき美しさ。最新作『As I Am』の冒頭曲“Go Ahead”から開始したこの日のライヴは(この時のダンスが超キュートだった!)、続けて“You Don't Know My Name”や“Teenage Love Affair”などのアガれるヒット曲を連発して、こちらのハートをガッチリと掴む。中盤に入ってからは、ピアノ弾き語りによるしっとりパートに突入。個人的には名曲“If I Ain't Got You”に泣きました……。その後も、男性シンガーとの熱いデュエットなどで見せ場をタップリと作り、これまた超名曲“Fallin'”では、何かを希求するような歌声がクライマックスへの高まりを演出する。そしてラストの“No One”では、スタジアムが一体となっての大合唱! 「こんな瞬間があるから音楽って素晴らしいんだよ!」と、熱弁したくなるぐらいスペシャルな体験を与えてくれたアリシアに、深く感謝です! *北野

18:40~
■DEVO @ MOUNTAIN STAGE

 〈ディーヴォのライヴの楽しみ方〉って感じのオープニング・ヴィデオが終わると、赤いエナジー・ドームを被り、黄色いつなぎを来た面々が一列になって行進して来る。その、余りにもディーヴォな光景(当たり前ですが)を観ただけで「で、出た~!!」とテンションはうなぎ上り。そして鳴り渡るプラスティックなロックンロール。ほぼ初期の5作から選曲された〈これぞディーヴォ〉なセットに、オーディエンスの歓声&ダンスは止まらない。随所でロボティックなアクションをキめ、エナジー・ドームを投げて配り、ポンポンを持って踊り、つなぎを引きちぎり……と小技を効かせまくったエンターテイメントっぷりも最高だ。ストーンズ“(I Can't Get No)Satisfaction”のカヴァーで、ロックもロールも粉砕した脱臼グルーヴを振りかざしたかと思えば、直後の“Uncontrollable Urge”では、圧倒的な演奏力でロックンロールをドライヴさせる。このあまのじゃくな感じがディーヴォなんだよなあ、と思わず感涙。アンコールでは、オーケストラ・ヒットで奏でられる合衆国国歌に合わせて尻を叩きながら登場し、“Freedom Of Choice”で締め。最高にパンクでファニーなステージングにお腹いっぱい、圧倒させられっぱなし。文句なしにベスト・アクト! *澤田

19:20~
■HADOUKEN! @ DANCE STAGE


HADOUKEN! (c)SUMMER SONIC 08 All Rights Reserved.

  アリシア・キーズの美声に酔わされたため、残念ながら途中からの参加となってしまったハドーケン!のライヴ。入場規制中とのアナウンスもあったので、急いで駆けつけてみると、〈DANCE STAGE〉はすでに狂乱のパーティー会場と化していた! ナマで観る彼らは、CDでのキッチリ整えられたサウンドに比べると荒々しさを残していて、若さに任せたダイナミックな演奏で一気に突っ走る感じ。フロアも、“Get Smashed Gate Clash”とか“Liquid Lives”など、爆発力のある楽曲が投下されるたびにドッカンドッカンと沸いて、熱気と雄叫びとグルグル踊り狂う人々が入り乱れるよくわからん状態に。最後には、ヴォーカルがドラムセットをなぎ倒してやんちゃぶりをアピールするなど、名前のイメージ通りの破天荒なパフォーマンスで、嵐のように過ぎ去ったのであった……。でも、彼らにとって最高のヒーローであろうプロディジーの“Firestarter”を、驚くほどストレートにカヴァーしてしまうあたり、〈俺たちはこの音楽でバカ騒ぎしたいんだ!〉みたいな気骨も感じられて、近い将来もっと突き抜けたモンスター・バンドに化けそうな気もする。*北野

19:40~
■THE JESUS AND MARY CHAIN @ SONIC STAGE

  〈サマソニ〉に限らず、レジェンドたちの復活が大きな話題となった今年の夏フェス。〈SONIC STAGE〉のファイナル・アクトを務めた彼らの来日も、こんなに多くのファンが待ち望んでいたんだなぁ……と、人で埋め尽くされた会場を見ながら感慨にふけっていると、いよいよメンバーが登場。最後の来日公演(1998年)の際はジムしか拝めなかったため(原因は兄弟ゲンカ……)、Wリードを目の当たりにしただけで筆者のテンションは急上昇! 次は、総毛立つほどの音圧で撒き散らされるホワイト・ノイズを……と期待したのだが、音がやや小さい気が……。とは言え、そこはやっぱり天下のジザメリ。 “Head On”“Some Candy Talking”“Just Like Honey”など、次々と繰り出されるヒット曲の数々に加え、新曲“All Things Must Pass”も披露されたとあっては抵抗する術もなく、揉みくちゃになりながら歌い、踊り狂った次第。ラストの“Reverence”ではサビのフレーズ〈I Wanna Die〉で大合唱が巻き起こり、異様な興奮に包まれたままステージは終了した。ダークかつポップな楽曲の強度を充分に堪能できるパフォーマンスだっただけに、頭が真っ白になるほどの爆音で翻弄されるように聴けたら、もっと〈らしさ〉を堪能できたような気がする(しつこい?)。*土田

19:55~
■COLDPLAY @ MARINE STAGE

  高鳴る鼓動を抑えつつ、じっと彼らの登場を待つ少年少女の瞳はやたらと輝いている。第1回目の〈サマソニ〉に出演したコールドプレイがヘッドライナーとして帰還するとあって、〈MARINE STAGE〉に集まった観客は大いに盛り上がっていた。そして“Life In Technicolor”で幕開けしたライヴは、スケールアップし続ける彼らの現在を如実に映し出すものとなった。ヒット曲のイントロが流れてくるたびに目元を拭っていた少女たちの姿。彼女たち越しにステージを観ながら、すべての若きロック野郎どもにとって、コールドプレイとはいかに大事なバンドであるのかを痛感させられたものだ。さて、肝心のライヴだが、彼らのサービス精神が光る内容でもあった。途中ステージを駆け下りて、アリーナの真ん中に設えられた小さな舞台に上ってアコースティックなナンバーをプレイしたり、クリス・マーティンがピアノの弾き語りでSMAPの“世界に一つだけの花”を披露したりと、観る者を飽きさせない構成に好感を持った。その極め付けがアリシア・キーズの登場だ。クリスと並んでピアノに座り、“Clocks”のリフレインを華麗に弾きこなしたアリシア(タイミングを確かめるためか、時々クリスの顔を少し不安そうな目で覗き込んでいたのが印象的であった)。今年の〈サマソニ〉名場面のひとつとして、多くの人の目に焼きついたことだろう。まさにフィナーレを飾るに相応しい中身の濃いライヴであった。*桑原

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介





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