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第399回 ─ ZACH HILL

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/08/28   22:00
ソース
『bounce』 302号(2008/8/25)
テキスト
文/小泉 いな子

ヘラの千手観音ドラマーが放った初のソロ作で、宇宙までひとっ飛び!!


  ヘラのザック・ヒルが放った初のソロ・アルバム『Astrological Straits』は、彼の音楽性に触れたことがある人なら思わず笑顔になること確実な出来。しかも本隊の『There's No 666 In Outer Space』と同様、マイク・パットン主宰のレーベル=イペキャクからのリリースだけに、期待度も高いのではないだろうか? 宇宙までマッハで飛ばされるくらい凄まじいドラムが、シャワーのように耳に襲い掛かる。おそらく初めて彼のプレイと出会う人は大きな衝撃を受けるハズなので、まずは予備知識としてザックのキャリアを簡単に紹介しておこう。

 2002年、カリフォルニアはサクラメントにてスペンサー・セイムと共にヘラを結成し、轟音と変拍子が炸裂した超絶極まりないサウンドでその名を広める。一方ヘラの活動と並行して、デフトーンズのチノ・モレノらと結成したチーム・スリープやキッド606&クリストファー・ウィリッツとのフロッシンをはじめ、マーニー・スターンの『In Advance Of The Broken Arm』にプロデュースとドラムで参加するなど、いろいろなプロジェクトに関与してきたことでも有名だ。そんな精力的な活動のせいか、去年4月に予定されていた日本ツアーは体調不良&治療のためにキャンセル。まあ、あの千手観音ドラム・プレイを過剰にこなしたら、ダウンも無理はない。

 しかし、彼はこのたびの『Astrological Straits』で見事に復活を遂げた。ザックの変拍子ドラムを主役に、エフェクターを駆使したノイジーなギター、ベース、キーボード、ヴォーカルが狂騒するメランコリックかつスペイシーな音世界はまさに宇宙そのものといったところ。参加アーティストはチノ・モレノやタイラー・ポープ(!!!、LCDサウンドシステム他)、ノー・エイジ、レス・クレイプール(プライマス)など。すでにアルバム収録曲の“Dark Art”と“Hindsight Is Nowhere”が〈YouTube〉で話題を呼んではいるが、ここはぜひともアルバム一枚をとおしてブッ飛んだザックの変態っぷりを堪能してほしい。

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