#1 A GUY CALLED GERALD
『Proto Acid: The Berlin Sessions』Hausmusik(2006)
テクノ史に残る『New Build』期の808ステイトに在籍し、ソロ転向後の“Voodoo Ray”をアシッド・ハウス初の一般的なヒットとした伝説の男、ガイ・コールド・ジェラルドが久々に新作をリリース! しかも全24曲72分、男のライヴ・セッション一発録り! 内容もTB-303やTR-808?909といった名機をそのまんま使用したような200%濃縮アシッド~デトロイト・テクノ! ハード・フロアに通じるビートのスウィング感が最高だ!(石田靖博/bounce 2006年10月号掲載)
#2 電気グルーヴ
『J-POP』キューン(2008)
お久しブリーフ! 片や川辺ヒロシとのInK、片や映画やヴァラエティー番組への進出と、スチャダラパーとのタッグを除けば本体での活動をほぼ休んでいた彼らが、約8年ぶりのアルバムをリリース。篠原ともえがコーラス参加したニューウェイヴ調の“少年ヤング”とブリーピー・エレクトロなヴァージョンの“モノノケダンス”といったシングル曲のほか、ヒダカトオル(BEAT CRUSADERS)や笹沼位吉(SLY MONGOOSE)、七尾旅人ら馴染み深いメンツも参加し、前作のディスコ路線からよりミニマルな方向へと進んでいる。そのためかお笑い度は低めで、時代性を感じさせる詞も多い。タイトルを含めてアルバム全体から、〈消費されゆく音楽=J-Pop〉へのアイロニカルな回答と取れるものも感じられます! スバラシイ。(田中将稔/bounce 2008年04月号掲載)
#3 RICARDO VILLALOBOS
『Fabric 36』Fabric(2007)
35分の長丁場を不穏な〈気配〉のみで押しまくる空前絶後の大名曲“Fizheuer Zieheuer”でクリック・ハウス~テクノ以外のリスナーからも大絶賛され、神の領域に達する勢いのヒカルド・ヴィラロボスが、ついに〈Fabric〉のミックスCDに登板! しかも、伝統あるこのシリーズでは初となる、全曲を自身の(未発表も含む)トラックで固めるという選曲を披露している! ヴィラロボス印な一音一音の選び方&構成は凝りまくり、されどフロアを震撼させるグルーヴは全開! 特に盟友・田中フミヤとの共作 “Fumiyandric 2”や、和太鼓の演奏とそれを鑑賞する外人女性のお喋りをクリック・ハウスにしたような(?)驚愕の“Andruic & Japan”には注目! クリックの最先端=ヴィラロボスという等式は証明され続けるのだ!(石田靖博/bounce 2007年11月号掲載)
#4 MARCO BAILEY
『Positive Disorder』MB Elektronics(2005)
〈現在のハード・ミニマル・シーンをリードするマルコ・ベイリーがトーマス・シューマッハのレーベルから DJミックスをリリース!〉という情報から想像できるドライヴィン・ミニマル特急ではなく……ヴィラロボスやロバグ・ウルンといったお馴染みのメンツが集合したクリック主体のDisc-1に驚き! マルコお前もか!?というより、現行のミニマルがクリック寄りにシフトしている好サンプルかと。Disc-2はもうちょっとハードです。(石田靖博/bounce 2006年01,02月号掲載)
#5 JORIS VOORN
『From A Deep Place』GREEN/TECHNORIENT(2007)
2003年頃から徐々に注目を集め、2004年のEP『Lost Memories Pt. 2』に収録された特大アンセム“Incident”で大ブレイクを果たしたヨリス・ヴォーンの2作目。繊細なプログラミングの妙や大バコでも破壊力抜群なミニマル・トラックを聴くと、ここに至るまでの成長ぶりもよくわかる。なかでも“Incident”のフォローアップ的な楽曲“Blank”は素晴しい仕上がり! 彼の原点であるデトロイト節ももちろん健在だ。(石井隆弘/bounce 2007年06月号掲載)
#6 Fumiya Tanaka
『mur mur - conversation mix』TOREMA(2007)
田中フミヤ名義では実に5年ぶりのミックスCDは、レギュラー・パーティー〈CHaOS〉におけるピークタイム時のプレイをそのまま収録したもの。粒立ちのハッキリしたクリックやのっぺりしたベースラインがウネるミニマルで、一定のテンションを維持させながらグルーヴィーに展開させるというストイックさは、いつもどおりにして唯一無二。自身のプレイをリアルタイムに解説するというDVDも追ってリリース予定です!(田中将稔/bounce 2007年08月号掲載)
#7 TOBY
『ELECTRIC SMOOCH』PLATIK(2007)
〈テクノ外交官〉として知られるヴェテランDJ初のオリジナル・アルバムが、石野卓球のレーベルから登場。クルーエル所属のKaoriを迎えたハウシーな4つ打ちから、ハードフロアばりのアシッド路線まで、15年にも及ぶDJキャリアに裏付けられたフロア志向のトラック揃い! ガブリエル・ルマーと組んだSupercruizer名義の楽曲に、〈WIRE〉でもお馴染みなVJのDEVICEGIRLSが映像をつけたプロモ・クリップも収録!(田中将稔/bounce 2007年07月号掲載)
#8 ELLEN ALLIEN
『Sool』Bpitch Control(2008)
自身のレーベルからミックスCDを発表したばかりのエレン・アリエンが今度は2年ぶりのオリジナル作をリリース。今回はまさに〈エレン・アリエン〉をテーマに制作されたそうで、アルバム一枚を通じて彼女が考える彼女自身を音に表した内容だという。それゆえに 4つ打ちトラックのみならず、彼女の内面に迫る繊細でダークなサウンドも味わうことができる。これは単なるテクノ・アルバムではなく、ひとつの芸術作品では?(石井隆弘/bounce 2008年06月号掲載)
#9 ALTER EGO
『What Next ?!』Klang Elektronik/Octave-Lab (2008)
昨年の傑作『Why Not?!』も記憶に新しいオルター・イーゴが、今度はそのアルバム収録曲のリミキシーズを作っちゃいました。それでもって、駆けつけたリミキサーの面々がまたスゴイ! すでにヒットしているカール・クレイグとティム・デラックス各々のヴァージョンはもちろん、DJコーツェやスーパーマイヤーといったコンパクト勢も参戦。オリジナルよりこっちのほうが良かったりするかも……? 話題になること必至です!(石井隆弘/bounce 2008年06月号掲載)