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第397回 ─ Willie Nelson

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/08/21   23:00
ソース
『bounce』 301号(2008/7/25)
テキスト
文/稲田 利之

御大より素敵すぎる2つの贈り物、真夏の夜に届いた星くずのブルースをご賞味あれ

 今年も新作『Moment Of Forever』をリリースし、75歳にしていまなおポピュラー音楽シーンの頂点に立つウィリー・ネルソン。70年代初頭、伝統的なカントリー・ミュージックの様式に囚われることなく、ロックンロール、ジャズ、ブルースといったさまざまなスタイルを消化し、〈アウトロー・カントリー〉と呼ばれた独自のスタイルを築いた彼による生涯最高の傑作となったのが、78年の『Stardust』なのです。そんな名盤がこのたびオリジナル音源に、76年から90年の間にリリースされた作品から選りすぐりのヴィンテージ・スタンダードを加えた2枚組の30周年レガシー・エディションとなって再登場! シンプルなメロディーをストレートに歌い、アメリカーナを感じさせるカントリー・テイストの伴奏と絶妙にブレンドさせるという彼の作品に踏襲されたスタイルをたっぷりと楽しめる内容とヴォリュームはまさに愛蔵盤です。

 それと時を同じくして、現役最高峰のジャズ・トランぺッターであるウィントン・マルサリスとの歴史的な共演作『Two Men With The Blues』もリリース! 2007年1月にNYで行われた二夜限りの共演コンサートは、それぞれのファンの間ではもはや伝説と化している貴重なパフォーマンス。ウィントン率いるジャズ・バンドを従え、およそ30年ぶりの再演となった“Stardust”に加え、聴き込むほどに味わいが増す数々のブルースは、シャッフルあり、ブギウギあり、ニューオーリンズ風ありと驚くほどに多彩な仕上がり! 数年前のTVCM起用で日本でも知名度が一気に高まったウィントンは、もちろん今作でも鳥肌ものの超人的トランペット・プレイを楽しませてくれます。

 この新旧2タイトルでのウィリー・ネルソンの歌声は、およそ30年の月日を感じさせないほどタイムレスな輝きに満ちた究極のアメリカ良質音楽なのであります!

▼ウィリー・ネルソンの作品を紹介。