リスナーを選ばない良質のポップ・ミュージック集が完成!

昨年リリースされたJiLL-Decoy associationのファースト・アルバム『ジルデコ』は、バンドのルーツであるジャズ~クロスオーヴァーの要素が前景化した作品だった。その後セルフ・プロデュースによるミニ・アルバム『no name collection』を経て、今回発表したニュー・アルバム『ジルデコ2』では、結成以来の大きなテーマだった〈もっともバランスが取れたポップスとの距離感〉を的確に掴み取ることに成功したように思う。そのことをダイレクトに示しているのが2曲目“SUMMER MAGIC”だろう。夏らしさをテーマにしたというこの曲は、これまでのジルデコにあった〈わかりやすいサウンド〉に対する躊躇を完全に拭い去り、サルサやサンバのリズムを大胆に採り入れたアンサンブルとヴォーカル・chihiRoの歌に焦点を当てたアレンジによって、どんな音楽趣味のリスナーも〈うん、イイ曲〉と素直に受け入れられるような極上のポップスに仕上がっている。
また、田中義人がプロデュースを手掛けた4つ打ちのアッパー・チューン“Brand-new life”など、楽曲のヴァリエーションもカラフルにスケールアップ。birdや中島美嘉、aikoなどを好むリスナーにもしっかりアピールできそうな歌ものアルバムをモノにした彼らは、ここからさらに大きなフィールドへと踏み出すことになるだろう。
▼JiLL-Decoy associationの作品を紹介。