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第51回 ─ THE BEACHES

連載
SPOTLIGHT!
公開
2008/07/10   21:00
ソース
『bounce』 300号(2008/6/25)
テキスト
文/宮内 健

夏と言えば○○○……だけじゃない! 日本の夏には奴らもいるぜ!


 今年3月には全米7都市を回るツアーを実現させ、いよいよデッカイ波を起こしそうな予感がしてならない、THE BEACHESである。ニューウェイヴ的な解釈でスカ、レゲエからアフロやラテンを経由して、インドや中近東などさまざまな辺境音楽のエッセンスを縦横無尽に採り入れては、それを単なるミクスチャーとして終わらせず、盆踊りとかチンドンに無意識に反応してしまう日本人ならではの〈血〉を注入した、独自のダンス・ミュージックとして昇華させてきた彼ら。2枚のアルバムを経て、初のシングルとして発表されるのが、この“POLICE & GIRLS & BOYS”だ。冒頭からサンバのブレイクスでド派手に始まるサウンドは、ダンスホール・レゲエと掛け合わせてもソカとは違うところに着地。そこにラガマフィンだか踊り念仏だかどっちともつかないアクの強いヴォーカルが乗っかった、ワケわからんけどズバ抜けておもしろい(!)、まさにTHE BEACHESならではの強力チューンとなっている。カップリングには、クラッシュの名曲“Bankrobber”のカヴァーも収録。原曲の持つヒリヒリとしたパンク的な肌触りは残しつつも、高速カリプソ×スカ・アレンジで(途中サイコビリーにも寄り道しつつ)換骨奪胎するセンスも流石だ。

 彼らが届けてくれる〈ビーチ音楽〉は、リゾート的な心地良さとは対極にある。しかし、夏祭りの日に不思議とざわついちゃう感情とか、真夏になぜか怪談を聞きたくなっちゃう感覚とかを思い出させてくれる、〈日本の夏〉的な音楽なのだ。

▼THE BEACHESの作品を紹介。