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第368回 ─ JOE GIBBS

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/06/19   05:00
更新
2008/06/19   18:23
ソース
『bounce』 299号(2008/5/25)
テキスト
文/カシワサン

魂のこもった彼の音は永遠に鳴り続ける……

  クラッシュがバンド名に拝借したというエピソードも相まって、多くの人から愛されているカルチャー“Two Sevens Clash”。この名曲を生み出したプロデューサーのジョー・ギブスが、今年3月に亡くなった。電気工だった彼が曲作りを始めたのは60年代末のこと。ちょうどこの頃、ジャマイカではロックステディが全盛期を迎えており、ギブスもロイ・シャーリー“Hold Them”のヒットでトップ・エンジニアの仲間入りを果たす。一方で、現在も聴き継がれるダブの名盤〈African Dub〉シリーズを生み落とすなど、マルチな才能でそのポジションを確固たるものにしていった。

 80年代以降に一度業界から足を洗うも、近年は自身が残した音源のリイシュー活動に精を出すなど音楽シーンに戻ってきた矢先のことだけに、彼の訃報は残念でならない。このたび届けられた『Reggae Anthology:Scorchers From The Mighty Two』は、ギブスと巧妙なアレンジで定評のあったエロール・トンプソンとのタッグ、いわゆる〈マイティ・トゥー〉による黄金期の作品をまとめた重要な編集盤だ。冒頭で紹介したカルチャーやデニス・ブラウン“Money In My Pocket”をはじめ、バーリントン・リーヴィ、ジェイコブ・ミラー、ジュニア・マーヴィン、JC・ロッジなどなど、ダンスホール隆盛以前のジャマイカ音楽界を担った錚々たるメンツが顔を並べている。現行シーンにおいてもクラシック・リディムの再評価が高まっている現在だからこそ、この機会にもう一歩踏み込んで、古き良きレゲエを聴き直してみてはどうだろう?
▼ここ最近リイシューされたジョー・ギブスの関連作品を一部紹介。