ロンドンのメンフィスがおもしろいらしい!
一見何のこだわりもないような、つまりノー・コンセプトなインディー・ロック・レーベルが、2000年以降増えているように思う。もちろんそれはネガティヴな意味ではなく、むしろ〈枠組みなんて取り払って音楽を楽しもうぜ!〉みたいな心意気が伝わってきて、こちらとしては非常に好感を持てるのだ。
さて、ここで紹介するメンフィス・インダストリー(以下MI)も〈ノー・コンセプト〉のもとカッコイイ奴らだけを集めた粋な軍団。派手さはないが、現在UKでもっとも信頼できるレーベルのひとつとされている。その歴史は意外に古く、98年にブルー・ステイツ『Blue States Forever』のリリースを機にロンドンで設立された(そう、今年でちょうど10周年)。しかし、注目を浴びるようになったのはごく最近の話。オーナーのジェイコブ兄弟がゴー!チームやピペッツをブレイクさせたことで、その存在を知った方も多いのではないだろうか。また、彼らはレーベル運営と並行してNYを拠点とするケマドの作品をUKに流通させるなど、常に目利きぶりをアピールしている。細分化が加速する現行ロック・シーンへのカウンター的存在として、今後はより重要な役割を担っていくはずだ……が、ちょっと先回りしていまのうちからMI作品をチェックしておこう!
(白神篤史)
BROADWAY PROJECT 『Compassion』 (2001)
ラップスター発のプリンス・トリビュートにも参加していた彼らは、この初作で枯れたダウンビートを披露。こんな音まで出していたのか!?とMIの懐深さに驚かされる一枚だ!
(山西)
THE RUSSIAN FUTURISTS 『Me, Myself And Rye... An Introduction To The Russian Futurists』
カナダ出身のマシュー・アダムハートによる奇天烈ソロ・プロジェクトのベスト盤。同朋のゴー!チームを彷彿とさせるマジカルなエレポップが炸裂です!
(白神)
TOKYO POLICE CLUB 『Elephant Shell』(2008)
〈ネクスト・ブロック・パーティー〉との呼び声も高い、カナダはトロント出身の4人組によるファースト・アルバムもMI発。全11曲28分という疾走っぷりはお見事で、弾けるポスト・パンクはレイクスやグッド・シューズあたりと並べて聴きたい!
(白神)

FIELD MUSIC 『Field Music』(2005)
フューチャーヘッズの元メンバーを中心に結成された、サンダーランド出身の3人組によるファースト・アルバム。マキシモ・パークなどが引き合いに出されているが、さらにポップでひねくれた変態っぷりは特筆すべきもの。昨年末の解散が悔やまれます。
(白神)
ABSENTEE 『Schmotime』(2006)
3人組のネオアコ・バンドによる初作。フレンチ・ポップ好きも射抜くであろうダルな女子声がグッドで、時折覗かせるカントリー趣味もいい感じだけど……どうしたってシーンからは浮いちゃってます!
(山西)