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第356回 ─ The Raconteurs

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/05/29   23:00
ソース
『bounce』 299号(2008/5/25)
テキスト
文/柴田 かずえ

ノリで始動させたプロジェクトが、ついに本物の〈バンド〉となる!


  何の前触れもなく突如ドロップされたラカンターズの2作目『Consolers Of The Lonely』! これがとてつもない爆発力を持った、最高の激ロック・アルバムに仕上がっているのだから脱帽である。しかし、〈突然の発表&その1週間後にはリリース〉とはいえ、勢い一発で作られた作品だと早合点してはいけない。プライヴェートな雰囲気が漂っていた前作『Broken Boy Soldiers』とは違い、今回はナッシュヴィルのスタジオでたっぷりと時間をかけて作られた、完璧な世界観を持ったアルバムなのだ。ジャック・ホワイトのガレージ・ロック趣味をブレンダン・ベンソンが絶妙な間合いでなだめつつ、それらをメンバー全員で盛り上げていく……。ノリで結成されたバンドが多くのライヴ経験を積み、さらなる高みへと昇るために生み落とした本盤には、カントリー、ブルース、果てはハード・ロックなどヴァラエティーに富んだサウンドが、〈新ラカンターズ節〉として詰め込まれている。できるだけ第三者の意見に左右されないようファンに届けたかったという理由で、完成からたった3週間後には店頭に並ぶこととなった『Consolers Of The Lonely』。バンドの粋な配慮、そして揺るぎない信念は、聴く者に大きな感動を与えてくれるはずだ。