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第346回 ─ Madonna

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/05/08   00:00
更新
2008/05/08   17:51
ソース
『bounce』 298号(2008/4/25)
テキスト
文/村上 ひさし

今回は思いっきりR&B路線に振り切ったわよ!


  ウィリアム・オービットやミルウェイズ、スチュワート・プライス然り、新たな才能を発掘して吸い上げるのがお約束となっていた女王蜂ことマドンナ様。しかし今回のニュー・アルバム『Hard Candy』はちょっとワケが違っている。登場するのはティンバランドやジャスティン・ティンバーレイク、ファレル・ウィリアムズといったヒットの仕掛け人(+カニエ・ウェストもゲストで参加)。この顔ぶれからも窺えるように、94年の『Bedtime Stories』 以来初めてヨーロッパからアメリカへと回帰したサウンドは、ヒップホップをペーソスにしたイマドキのポップR&Bといったニュアンスだ。まあ、ぶっちゃけティンバが絡んだジャスティン『FutureSex/LoveSounds』やネリー・ファータド『Loose』をまんまイイトコ取りした感じ?──なんて言ったら元も子もないが、そんなこと百も承知でやっているんだろうから、流石は女王様? 〈とにかくヒット曲を作ってちょうだい!〉と凄んだとしか思えない、売るために作られたアルバム。ポップ・アートもへったくれもないコーポレートな匂いプンプンの開き直りなのだが、とはいえ、この呪術的リズム&ポップなメロディーには逆らえない。長いものには巻かれろってことですかね?