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第25回 ─ CLICK HOUSE

連載
Di(s)ctionary
公開
2008/04/17   00:00
更新
2008/04/17   17:42
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/石田 靖博

さまざまな音楽ジャンルを丁寧に教えてくれる誌上講座が開講! 皆さん、急いでご着席ください!!

I クリック・ハウスの成り立ちと特徴

 わしがクリック男塾・塾長である! 今日は〈クリック・ハウス〉を骨の随まで叩き込むから覚悟せよ! まず、〈クリック・ハウス〉とは何か? それは〈瞬間的なノイズや電子音〉=クリックを用いたハウス・ミュージックということになるが、現在は音数と展開を絞ったミニマル・テクノ~テック・ハウスの総称として使用される言葉である。その成り立ちを大きく3つの流れに分けて説明していこう。

まずはミニマル・テクノからの流れである! 90年代、複数のトラックをパーツとして組み合わせるDJプレイがジェフ・ミルズによって確立されると、そこではよりパーツ的な構造の楽曲が求められるようになっていく。そしてジェフの影響下からベーシック・チャンネルやマイク・インクらによるケルン系スカスカ・ミニマルの面々が登場すると、一気に音数を絞ったミニマルがトレンドとなっていったのだ。

続いてはシカゴ・ハウスの流れで生まれた変態路線……最小限の機材で制作されるシカゴ・ハウスのスカスカぶりに影響を受けた変態連中の仕事だ! この手の代表曲は、スリージーD“I've Lost Control”をモロ使いしたDBX“Losing Control”なのだが、そのDBXの影響下にいるのがリッチー・ホウティンだというのもこの流れの裏付けとなるであろう。

3つめはヨーロッパのディープ・ハウス~テック・ハウスからの流れである! 特にUKのペーパーやニューフォニック、スウェーデンのスヴェックなどの淡々とした質感はクリック・ハウスにそのまま通じていくし、スティーヴ・オザリヴァンのモザイクなんて直球ベーシック・チャンネル路線だったりする。これらの流れが混在して生まれただけあって、〈クリック・ハウス〉は一筋縄では行かんぞ! 続いては実戦である!