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第10回 ─ ラジオの時間の時間

第10回 ─ ラジオの時間の時間(2)

連載
ディラン・ディラン
公開
2008/03/27   16:00
更新
2008/03/27   17:28
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/bounce編集部

〈ディラン・ディラン〉のお喋りキーワード解説


1.〈テーマ・タイム・ラジオ・アワー〉のCD
 ボブ・ディランのラジオ番組から誕生したコンピ『Theme Time Radio Hour』(Ace/MSI)のこと。2006年5月に放送開始となった〈Theme Time Radio Hour〉は、ディランの喋りと彼のフェイヴァリット音楽を伝えてくれるありがたいプログラムとして、世界中のファンを喜ばせた。番組は現在も継続中であるが、その第1シーズンでオンエアされた楽曲をベスト選抜したのが本作で、ディランの音楽通ぶりを如実に提示する内容だ。ボ・ディドリーやチャーリー・リッチ、リロイ・カーなどの先輩から、クラッシュやホワイト・ストライプスといった後輩の曲まで並んでおり、実に雑多なジャンルを網羅していることに驚かされる(全部ディランのコレクションから選曲されたそう)。なおディラン自身の楽曲&喋りは収録されていない。

2.〈ラヴ・アンド・セフト〉
ボブ・ディランの2001年作『Love And Theft』(Columbia)のこと。ここではディラン流〈ディスカヴァリー・アメリカン・ポピュラー・ミュージック〉というべき作業が実践されており、明るくポップでレトロ風味の曲&サウンド作りが話題を呼んだ。

3.こないだの細野さんのアルバム
 2007年にリリースされたハリー細野&ザ・ワールド・シャイネス名義でのアルバム『FLYING SAUCER 1947』(スピードスター)のこと。古いヒルビリーやカントリーへの愛情深いアプローチを行った本作には、ディランのコンピにも収録されているアル・デクスターのヒット曲“Pistol Packin' Mama”のカヴァーもある。


4.ジャイヴ
 40~50年代にアメリカの黒人たちの間で流行した陽気なダンス・ミュージックのこと。今回のコンピにはルイ・ジョーダンやスリム・ゲイラード、キャッツ・アンド・ザ・フィドルなどの代表選手による楽曲が収録されており、ディランのジャイヴ愛好家ぶりを窺い知ることができる。ディランを魅了して止まないジャイヴの底抜けなおもしろさを体感したいなら、ルイ・ジョーダンの編集盤『Louis Jordan 1939 -1954』(MCA)がオススメ。

5.クイーン・オブ・ソウル
 アレサ・フランクリンのこと。彼女はコロムビア時代にディランとレーベルメイトであった。コンピには彼女の68年作『Lady Soul』(Atlantic)からヒット曲“Chain Of Fools”がチョイスされている(正規版ではなく本CDのボートラである未編集版のほうを収録)。なおラジオ番組では〈愚か者たち〉の回で使用された。

6.NYパンク
 早すぎたパンク・バンド、モダン・ラヴァーズのこと。バンドを率いたジョナサン・リッチマンの特異なキャラを愛する音楽家は多いが、ディランもそのひとりであった。コンピには76年作『Modern Lovers』(Beserkley/Castle)から“Road Runner”が収録されている。同曲が使用されたのは〈ラジオ〉の回。

7.レディ・デイ
 伝説的なジャズ・シンガー、ビリー・ホリデイのこと。コンピには彼女の編集盤『The Definitive Collection』(Verve)にも収録されている“Good Morning Heartache”が選ばれた(〈ハート〉の回で使用)。ちなみに彼女とディランは同じくジョン・ハモンドという大音楽プロデューサーに見い出され、デビューを果たしている。

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