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第322回 ─ Toninho Horta

連載
NEW OPUSコラム
公開
2008/03/27   17:00
更新
2008/03/27   17:47
ソース
『bounce』 297号(2008/3/25)
テキスト
文/佐々木 俊広

ミナスから世界へと飛躍した天才ギタリストの充実期を捉えた作品が一挙にリイシュー!

 ミルトン・ナシメントをはじめ、ブラジル音楽界の要人を数多く輩出し続ける音楽都市、ミナス出身のギタリスト/コンポーザー、トニーニョ・オルタ。キャリアの初期からミルトンの諸作にも携わり、その〈トニーニョ印〉としか言いようのない魔法の音色はパット・メセニーをはじめ、多くの音楽家に影響を与えている……な~んて、お堅い前置きはさておき、このたび入手困難になっていた88~94年発表の4作品がリイシューされたので紹介しよう。

 ウェイン・ショーターやウーゴ・ファットルーソらのプレイも聴きどころの『Diamond Land』、そしてメセニーとの極上デュオによるタイトル曲が収録された『Moonstone』の2枚はコンテンポラリーな味付けが施されているなか、トニーニョの素朴でふんわりとした世界観がブレないのがスゴい。トリオ編成で挑んだ『Once I Loved』では敬愛するゲイリー・ピーコックを迎え、盟友の矢野顕子も参加した『Foot On The Road』では当時、再注目されつつあったブラジル北東部のリズムやラッパーの導入も。彼の飽くなきミュージシャンシップと故郷への愛がどの盤からも優しく匂い立ってくる。

▼このたびリイシューされたトニーニョ・オルタの作品を紹介。