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第27回 ─ 宇宙人についての仮説(1)

連載
踏 切 次 第
公開
2008/03/19   23:00
ソース
『bounce』 296号(2008/2/25)
テキスト
文/次松 大助

次松大助が見つめる、とある町の日常──


(……個人的には非常に懐疑的ですが、夢のない人間だと思われるのが嫌なので、それらが存在するものとして)

●まず、UFOについて──遠く離れた星から地球に来ているとすると、その科学力は相当なものだと推測されます。無重力下での長旅や、大気圏通過時の摩擦などを考慮すると、宇宙船自体の形状は球体、もしくは円筒状のように思われます。なので、よく言う円盤型のUFOは地球到着後の小型機と考えるのが妥当かも知れません。しかし、宇宙人としての存在を隠したいのならば、何故地球上では飛行機の形を模さないのか。彼らの科学力をもってすればおそらく容易いはずです。

●目的について──では、存在が公になっても良しとする場合、片言で〈コンニチワー〉ぐらい言ってきても良いのではないか。彼らの科学力が発達した土壌を考えると、おそらくは(その生産性からして)ある程度協和的であり、社交的であると思われます。一人一人が排他的な種族だと、科学の発展が乏しいように思われるからです。では、この〈コンニチワ〉もない状態をどう捉えるか。よく言われるように、彼らの目的が地球の侵略だとすると大変です。ですが、アメリカが沖縄を手放さないように、戦争をするには母国(母星)から遠ければ遠いほど不利であり、なるべく近くに拠点となる基地が無い限り、兵士たちの食糧や燃料の確保、補給が困難です。ですので、彼らの母星(この際、以下〈こりん星〉と呼ぶ)と地球との距離を考えると、おそらく武力的な侵略は彼らも断念せざるを得ないでしょう。また、文化的/経済的侵略が目的だとしても、その後、つまり侵略した後のさらなる目的が必要です。それだけ科学の発達したこりん星において、奴隷の確保などという非生産的な労働システムは考えにくく、食糧の確保においても、わざわざ地球まで来なくても近くの星に屋内農場を作るほうがたぶん安く済ませられそうです。となると目的はやはり地球への移住ですが、それこそ早々に〈コンニチワ〉しておいた方が合理的です。文化的/経済的に重要な綱を数本握ったうえでの〈敵対的な共存〉だとすると、民間単位での衝突は避けられず、いずれすぐに深刻化しそうだからです。

 総合的に考えた結果、彼らが地球に来る理由はおそらく……観光です。それならば人間が古代遺跡に手を加えないのと同様、彼らも人間には非接触的だし、UFOを目撃されても〈見ラレチャッタ〉程度で済むわけです。

 という訳で、次回は〈宇宙人の観光事業〉についての仮説です。

今月のBGM

MONTY ALEXANDER WITH ERNEST RANGLIN
『Rocksteady』

Telarc
モンティ・アレクサンダーもアーネスト・ラングリンも素晴らしいんですが、ドラム! 素晴らしすぎじゃないですか? 楽しい、繊細、クール、ホット、ウォームで、ついドラムに聴き耳を立ててしまう。多分凄く小さめの音で演奏してる。

PROFILE

次松大助
99年に大阪で結成されたスカ・バンド、The Miceteethのヴォーカリスト。バンドの『07』、ソロ・プロジェクトである箱の『long conte』が好評リリース中。3月23日に大阪・梅田Shangri-Laで行われるイヴェント〈闇鍋音楽祭2008〉にバンドで参加する予定。